13日、選挙集会中に右耳を撃たれて負傷したトランプ氏。米大統領選に影響はあるのか? アメリカ現代政治外交が専門の前嶋和弘教授に聞いた。
前嶋氏は襲撃事件について、「最近、要人警護は徹底されているが、その中でこのような事件が起きたことに衝撃を受けた。また、トランプ氏は大事に至らなかったが、参加者1名が亡くなり、2名が重傷を負ったことは心が痛い」とした上で、「トランプ氏に同情票が流れるのでは?」とも推測されている選挙戦への影響について次のように述べた。
「同情票についてはなんとも言えない。確かに、1981年3月にレーガン氏が現職の大統領の時にヒルトンホテルの前で撃たれて入院した際には支持率が20ポイントも上昇した。だが、その時はアメリカが“一つの世論”とでも言うべき状況だったが、今のアメリカには保守系とリベラル系の2つの世論がある。分断の時代において、大統領という1人に対する見方も保守とリベラルとでは大きく違う。そのため、このままトランプ氏が圧倒的に勝つとはちょっと考えにくい」
今回の襲撃を受け、SNSなどを通して団結を呼びかけるトランプ氏と、 襲撃に対して「標的」などの言葉を使ったことで周囲から追求されるバイデン氏。これを「これまでと構図が逆転している」と見る向きもあるが、これに対し前嶋氏は「短期的なものだ」と否定した。
「例えば、15日に副大統領候補に指名されたバンス氏は“民主党叩き”のための人選だ。トランプ氏の右腕として、多様性や平等ではなく、アメリカファーストのためにウクライナからの撤退などを訴え、民主党を非難するだろう。そもそもこのムードはメディアが作ってる部分もあると見ている」
さらに前嶋氏はバンス氏について「貧困からのし上がった有能な人物であり、ベストセラー作家だ。一方で情勢を見て反トランプから“変節”して、トランプ氏の応援を得て上院議員に当選するなど“ずる賢い”とも言えるかもしれない。トランプ氏にとってみればまさに自分そのもの。右腕であり、まるで自分の若い頃のようだ、などと見ているかもしれない」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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