将棋の王座戦・挑戦者決定が7月22日に行われ、永瀬拓矢九段(31)が羽生善治九段(53)に勝利し、藤井聡太王座(竜王、名人、王位、棋王、王将、棋聖、22)との五番勝負へ進出を決めた。永瀬九段は、4期防衛した「王座」のタイトルを前期の五番勝負で藤井王座に奪われ失冠。“絶対王者”へのリベンジを目指し、激戦必至のシリーズへ臨む。
獲られたら獲り返す――。シンプルながら最も難しい戦いが幕を開ける。挑戦者決定戦は、前期王座の永瀬九段とタイトル獲得通算100期を目指す羽生九段による好カードが実現。後手番となった永瀬九段が用意の雁木をぶつけ、熱戦の末に114手で勝利を飾った。
永瀬九段は、2019年度の第67期王座戦五番勝負で斎藤慎太郎八段を破りタイトルを奪取。以降、久保利明九段、木村一基九段、豊島将之九段の挑戦を退け4連覇を遂げた。しかし、前期、研究パートナーで“最強の挑戦者”として現れた藤井竜王・名人と、文字通りの死闘を演じ、通算成績1勝3敗で失冠。藤井竜王・名人に王座を譲り、前人未踏の全八冠独占の瞬間を目撃せざるを得ない結果となった。
挑戦権獲得後、会見に応じた永瀬九段は「私は過去に(他棋戦を含む)挑戦者決定戦でかなり多く負けてしまったが、ここでひとつ結果を出すことが出来て良かった。それが王座戦ということは“運命”を感じる」とコメント。「今期の王座戦(挑戦者決定トーナメント)ですと、準決勝で鈴木(大介九段)先生と当たったり挑戦者決定戦は羽生先生とだったり、私としては運命的な組み合わせだったことに加えて、最後は藤井さんが待っている。前期(五番勝負)は内容としては奮戦できたと思うが結果がなかなか出なかったので、今期は結果・内容とも充実できれば」と闘志をみなぎらせた。
1年で再び“絶対王者”とタイトル戦で盤を挟むことになった永瀬九段だが、前期の失冠後は「精神的な未熟さで、去年の王座戦が自分としてはダメージとして残ってしまった」と回顧。それでも「自分の弱さと向き合う機会にもなったし、思っていたより弱い部分が目立った1年だったかなと思う」と自分を客観視して見つめた。「精神的な部分だが、自分と向き合うことでそういう脆さを少しずつ改善できたら」といい、前期の五番勝負終戦後に復活した藤井王座との研究会では「結構、五分の成績になってきた」と柔らかな笑顔を見せる場面もあった。
タイトル奪還へ、再び番勝負へと舞い戻る永瀬九段に対し、ファンからは「応援してるぞ」「永瀬がんばれ!」「カムバックだーーー!」「リベンジマッチ超たのしみ」と祝福と熱烈応援のコメントも多数寄せられている。
両者の公式戦対戦は、前期の王座戦五番勝負、2022年度の棋聖戦五番勝負を含む22局で、藤井王座が15勝7敗と勝ち越している。熱戦必至の五番勝負は、藤井王座の初防衛か、永瀬九段の“王座奪還”となるか、大注目が集まることになりそうだ。運命の五番勝負は、9月4日に神奈川県秦野市の「元湯陣屋」で幕を開ける。
(ABEMA/将棋チャンネルより)