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【映像】遊泳禁止の湖で泳ぐ外国人
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 訪日外国人旅行者が飛躍的なペースで増えている。2024年上半期は1778万人にもなり、このペースであれば過去最多だった2019年の3188万人を大幅に上回る3500万人も見えてきている。消費額も8兆円にのぼると言われる中、インバウンド客のマナーが問題視されることも多い。遊泳禁止の美麗な池で泳ぐ、富士山に無謀なスケジュールや服装で登るなどの例が後を絶たない。また、飲食店では無断キャンセルや大声で話すなど“マナー違反”を受けて入店を「日本語ができる方限定」としたところ、ヘイトだとバッシングを受ける事態にもつながった。政府が観光立国を目指す中、オーバーツーリズムへの対策などは、どこまで進んでいるのか。『ABEMA Prime』では、直接迷惑を被った飲食店の大将を交え議論した。

【映像】遊泳禁止の湖で泳ぐ外国人

相次ぐ訪日客トラブルで「外国人お断り」はダメ? 「世界No.1の観光立国」への課題とは?「マナー違反はしっかり注意すべき」  日本語Onlyの蕎麦屋大将と考える
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■浅草の人気蕎麦屋が怒り「外国人客の4分の1が無断キャンセル」「売り上げが10%以上落ちた」

 国内外を問わず、食は観光客にとって大きな楽しみの一つ。外国人観光客にとって日本食を堪能することもイベントであり、飲食店側にとってもチャンスだ。しかし、蕎麦屋「浅草じゅうろく」では状況が違った。外国人客を受け入れようとしたところ、無断キャンセルが相次ぎ、売り上げが減ってしまったからだ。この店では開店から約8年間、電話予約のみを受け付け、「日本語が不自由な場合お断り」としていたが、店主の伊勢谷忠促さんは「ミシュランで賞を取ろうと思ったら外国人を入れないと取れるわけがないと言われた」ことで、昨年11月からネット予約を解禁。すぐに外国人客から予約が入ったが、ここで想定外のことが起きた。「ネット予約を始めたら25%がキャンセル。しかも16席の店で4人で予約を取ってグループで来ない。登録された電話番号にかけるとホテルだったり、デタラメだったり。もう12月で打ち切りにした」。現在は再び外国人は電話予約のみ、日本語が不自由であれば断ることにした。

 伊勢谷さんのキャラクターもあり、目に余るほど騒々しいなどマナーが悪い客は、日本人であろうと外国人であろうと堂々と注意はしてきたが、やはりネット予約で無断キャンセルされては対応のしようもない。また、今では翻訳アプリなどもあるが、1人の客にそれほど時間をかけられる余裕もない。「予約されると電話がつながらなくても僕らは待つしかない。その間にいっぱい問い合わせがあっても満席ですと断る。コロナの時でも全く変わらなかったのに、昨年は売り上げが10%以上落ちた」と、年末のかき入れ時で受けたダメージは大きかった。

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■「外国人客お断り」はヘイトにつながるのか

 今回の伊勢谷さんの判断はどうだったのか。観光立国調査会の事務局次長で自民党所属の参議院議員・和田政宗氏は「それは経営上の判断だ」と評価する。「レストランにドレスコードがあるように、4分の1が無断キャンセルということになってしまうと、これは死活問題。本当に食べたければ、日本語ができる人を連れてくれば食べられる。外国人にたくさん来てほしいのであれば翻訳ソフトや多言語メニューを用意するという形になるが、伊勢谷さんの状況を聞くと判断は間違っていない」と支持した。

 在日ロシア人でコラムニストの小原ブラス氏は、今回のケースについて「外国人お断りという感じではなくて、日本語が伝わらない人は無理という対応なので、そこまで違和感はない」とした上で、外国人観光客の迷惑行為がメディアで大きく取り上げられることには首をひねった。「奈良で鹿を蹴った人の映像も中国人だとして広まったが、蓋を開けたら中国人かどうかわからないし、日本人かもしれない。日本人が悪いことをしたら犯罪者が悪いとなるが、外国人が何かすると『外国人が悪い』と括られる」と疑問を口にした。さらに「関東大震災の時、朝鮮人が井戸に毒を入れたというデマが広まったが、それと似たような感じに見える。不確かな状況で『外国人お断り』とするなら、日本人も外国で断られるようなもの。日本人ではなく『アジア人お断り』をOKとするようなもの」と、差別を招くと述べた。

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■南アフリカ人の父に日本人の母 長谷川ミラ氏「二重価格を取られそうになった」

 増え続ける外国人観光客の影響は、思わぬところにも出ていた。南アフリカ人の父と日本人の母を持つモデルの長谷川ミラ氏が「先日、原宿にラーメンを食べに行った」時のことだ。何か聞かれることもなく、差し出されたのは英語のメニューだった。「もう3周回って全然平気。ちょっと前にも『わさびOK?』『箸OK?』とか言われたので『一膳ください』とか」とジョークも交えたが、「英語メニューのせいで二重価格を取られるのでは」と、心配になった。また国内旅行でレンタカーを借りようとした際「携帯電話が英語設定だった」ためか、事前に調べた料金ではなく、外国人価格を取られそうになった。「私は日本生まれで日本育ち、日本人だと思っているし、父も移民で30年日本に住んでいる。私たちはこれからどう見られていくんだろう。パッと見ていろいろ判断されると、純粋に悲しい気持ち」と、率直な思いを口にした。

 対策として、身分証を提示するというルール作りにも言及。日本人であればマイナンバーカード、運転免許証などが考えられ、外国人の中長期滞在者であれば保持が義務付けられている在留カードなどだ。ただ運用がスムーズにいくかは未知数で、長谷川氏は「証明書でどうにかなるならそれでいい」、小原氏は「いちいち日本人も日本人だと証明するのは大変。おじいちゃんとか『なんでそんなの見せなあかんねん』というのが始まる」と、意見が分かれた。

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■マナー違反には「注意」を トラブルになったら怖いという本音も

 では今後、さらに増える外国人観光客に対して、どう接していくべきか。将来的には外国人旅行者1億人という、世界No.1の観光立国化を目指している和田氏は「マナーについては、やはり『郷に入れば郷に従え』であって、マナーが悪ければまず注意するということ。我々も勇気を持って、この美しい日本を守るために、ゴミのポイ捨てをしていたら、『捨てたらダメだよ』と言ってその人に渡すべき」と訴えた。

 すると長谷川ミラ氏は「自分が海外に行った経験を思い返すと、ダメなことは注意してくれた。それとやはり困った時は言語。1年ほど前に海外から帰国した際、成田エクスプレスに乗っていたら、外国の方がずっと立ってしゃべっていた。荷物を上げているのかと思ったが15分ぐらい立ってしゃべったままだったので『Guys, you are in Japan. Sit down.』、みんな、ここは日本だから座れと言った。ただそれも(海外の)文化。電車や飛行機で後ろの方にみんなでお酒を持って、知らない人同士でしゃべることがある」と、注意される側も気づかずしているケースもあるとした。

 反面、EXITのりんたろー。は、日本人ならではのコミュニケーション術について言及した。「言わないのが日本人。日本語でもコミュニケーションが取れても注意してトラブルになったら怖いのに、(言語が通じず)コミュニケーションが取れない人に『ダメですよ』というのは超怖い」。また兼近大樹も「日本が舐められているのかなとも思った。日本人は海外に行ったらズルズル音を立てて食べたらダメだよと教え込まれてから行く。でも向こうの方たちはそれをやっていない。それって日本人が言わないせいじゃないですか」と語った。すると、りんたろー。は再び「こうやって観光立国となる上で、トラブルに対してはその個人で対応していくにも限界がある」と訴えると、和田氏は「体制構築ができないまま、闇雲に外国人観光客を増やすということはやらない。日本社会が壊れてしまうし、オーバーツーリズムのところも、今しっかり対応しないと、無理くり増やそうと思っても来てくれないし、来たら大変なことになる」と政府として対策する必要性を述べていた。
(『ABEMA Prime』より)

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