「バイナリーオプション詐欺」で、大阪では捜査員470人を投入し、詐欺グループおよそ90人を逮捕、5人を公開手配した。異例尽くしの巨大詐欺事件で、押収されたのはスマホおよそ1800台、グループによる詐欺被害は全国でおよそ10億円にものぼる。
23日に大阪府警は主犯格とみられる自称、行政書士の島内大起容疑者ら男女8人を詐欺容疑で逮捕。島内容疑者らは今年2月から3月にかけて20代女性に対しSNSで「80パーセント勝てる商材がある」と、架空のもうけ話を持ちかけ、およそ90万円をだまし取った疑いがもたれている。
大阪府警によると詐欺グループは2つあり、4つのビル内の拠点に分かれてSNSで詐欺のメッセージを送る通称「打ち子」らが活動していたとみられている。
容疑者たちはSNSで為替などの変動を予想する「バイナリーオプション取引」に関する投資を持ち掛ける手法で、被害者にウソの情報商材を購入させるなどして、現金をだまし取った疑いがもたれている。
バイナリーオプションとは為替や株価などの騰落を予測する取引。あらかじめ決められた地点の値が高いか低いか、二者択一で選ぶ取引のこと。この勝率を上げるためになんの根拠もないウソの情報商材を売りつけるのがバイナリーオプション詐欺と呼ばれる手口だ。
バイナリーオプション詐欺被害の依頼を700件以上受け、返還請求をおこなってきた丹誠司法書士法人の和田勇祐代表は「『70万円のプランだと勝率80パーセントですよ』とか、『これがグレードアップして100万円のほうを買ってもらうと90何パーセントになりますよ』と、そういう勧誘をしている」と説明。
詐欺師たちはSNS上で知り合った被害者に「バイナリーオプション取引の必勝法がある」と持ち掛け情報商材でお金をだまし取ろうとし、情報商材はUSBやPDFで送られるという。
和田氏は「インスタグラムを開くと、若くてすごく綺麗な女性からフォローされていて『私はバイナリーオプションで成功してこれだけのものを手に入れていますよ。こんな充実した生活をしていますよ』と見せている。著名人になりすますタイプのものに比べるとリアリティーがあるかもしれない」と警鐘を鳴らし、「100パーセント大阪のグループという印象。電話で対応してもほぼ関西弁の方ばかり」と明かした。
投資トラブルを経験したTKO・木本武宏はバイナリーオプションについて「これ自体が悪い事ではない」と前置きすると「たとえばドルが次上がるか下がるかというのに賭ける、トライするものだが『これのやり方を教えてあげる』と誘ってくる」と手口を説明。
また情報商材などの値段について「大きい額ではあるが、すぐ警察に駆け込もうという額ではないぎりぎりのところを狙ってくる。だから時間稼ぎができる」と巧妙さを語った。
経済アナリストの森永康平氏は「最近非常に増えていて、いまわかっているだけでも今年の上半期の被害総額は去年の総額を超えるほど。冷静に聞いていればあり得ない話ばかりだが、なぜかみんな引っかかってしまう」と警鐘を鳴らした。
かつての詐欺は実物が存在していることは多かったが、最近の詐欺について森永氏は「物が残らない。『この情報を見れば勝てるようになります』という形でやるのが情報商材と呼ばれるもの」と指摘。
バイナリーオプションは「丁半博打」のようなものだとする森永氏は「円高になるか円安になるかの二分の一。『それだけで儲かるの!?』と思ってしまい、乗っかりやすいので、特殊詐欺のなかでもよく使われる」と注意を促した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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