「ここ数年、『安心して住める家がない』という相談が明らかに増えている」
【映像】床一面にカビが…生活保護の申請後、自治体に勧められた“劣悪すぎる住居”
こう話すのは、若者の貧困問題に取り組むNPO法人POSSE理事の岩本菜々さんだ。
厚生労働省の発表では、今年1月時点で全国のホームレスの人数は2820人と2003年の調査開始以来、過去最少としている。一方、POSSEのが若者のホームレス化について相談内容などを集計し、7月にデータの公表・政策提言を行った調査によると…
「2021年度には若い人の相談は全体の2割から3割程度だったが、2023年度は約半分(589件中304件)に増えており、“ホームレス状態”の人も増加している」(岩本さん、以下同)
実は国のホームレス調査は路上生活者が対象となっているため、ネカフェ生活者など「住居喪失者」は2820人に含まれていない。その調査とは裏腹に、POSSEの調査では10代から30代のネカフェ生活者や友人宅への居候、家での虐待など、安心して住める家がない“見えないホームレス”を含めた生活相談件数が増えているという。
なぜ“見えない若者のホームレス化”が進んでいるのだろうか?
「安定した雇用の減少に加えて、家庭が経済的に不安定に陥っていることが要因だ。そんな中、実家に留まり、家族に虐待を受けているという人もとても多い」
雇用の不安定や低賃金など、経済的な自立が難しくなっている。しかし、一度ホームレスとなってしまった場合、打開策はあるのだろうか?
「私たちはまず生活保護を受けてアパートを借りてもらって、安定した家を確保してから仕事を探したり資格の勉強をするサポートをしている」
生活保護の受給が一番の対応だという。しかし、一部の自治体では違法行為も…
「ホームレス状態で生活保護の申請に行っても、アパート入居に向けて動き出すのではなく、“劣悪な施設”に入れられるという相談が多い。床一面にカビが生えていて壁や天井にはタバコのヤニがついている、そんな施設に収容されている方もいた。生活保護における自治体の費用負担があるため、端的に言ってお金を出したくないのだ。アパートの敷金・礼金などを負担するのを避けたいという理由で施設に入れている」
岩本さんは、この生活保護の体制を見直しが“見えない若者のホームレス化”の解決に必要だと訴える。
「生活保護は本来、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度だが、現場の運用は骨抜き状態だ。まず今ある制度をちゃんと使えるようにすることが大事だ」
【POSSEに寄せられた相談事例】
・宮城県20代女性:家族からも暴力を受け所持金も奪われ、友人宅に。工場の社員寮に入るも、うつ病の悪化で働けなくなる。パートナーからのDVで警察に保護され実家に戻る。毎月10万円入れるよう言われる。
・三重県30代女性: 父が毒親だが、市立図書館職員(非正規フルタイム)の仕事は手取りが平均月11万円前後で、6万円まで下がる時期があり、実家を抜け出せない。
若者のホームレス状態が増えているという現状について、貧困の現場を取材した経験があるノンフィクションライターの石戸諭氏は「若者のホームレスに限った話ではないが、日本の生活保護行政の1番の問題は『もらうべき人に対して適切な受給が行われていないこと』だ。ホームレス状態の若者の中にも受給対象者がいるだろう。まず彼らが生活保護の対象となって住まいを確保する。これが第一に必要なこと」と指摘。
その上で、「行政支援・生活保護にたどり着けない人が多いため、仲介をしている人たちのサポートが重要になる」と述べた。
「“自分が困っていることを認めること”、そして“どのように困っているかを言語化して役所などに伝えること”は簡単ではなく、思ったより労力がかかる。適切なサポートは支援団体の方たちの“腕の見せどころ”とも言える。役所側も無下に断るべきではない。支援を必要な人に届けるという事例を一つずつ積み上げていくことが大事なのだ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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