その要因はどこにあるのか? 株価暴落は我々に何をもたらすのか? 経済アナリストの森永康平氏に聞いた。
森永氏は「まず、今回の株価下落の原因は一つではなく複数ある」と述べた。
「日銀の利上げ、そしてそれに伴う円高。アメリカの景気減速への不安。さらには中東情勢などが重なったことで暴落につながった。ただし、これだけではなく、『これだけ下がったら売りを足す』などシステム的な自動売買が広がったことも要因だ。これにより、ひとたび日銀の利上げなどで株が下がると自動的に売りが加速してしまうのだ。そして、これらを受けて、個人投資家も売りを煽られてしまい、“狼狽売り”を行った」
一部では値動きが大きいゆえにチャンスも大きいという声もあるが、森永氏は「それは博打でしかない。投資を始めた目的を見失ってはいけない」と警鐘を鳴らした。
「株価が激しく動くと『うまく乗ったら短時間でいっぱい稼げるかも』と思う気持ちも湧くだろう。だがそこは“上がるか下がるかの世界”であり、丁半博打のようなギャンブルだ。元から『自分は売買を繰り返して稼ぐスタイルで行くんだ』と決めていた人にとってはチャンスかもしれないが、例えば今年から新NISAを始めた方たちの多くは積み立て投資が目的だったはずだ。そんな人たちが短期売買に魅力を感じているとしたら、最初の目的とは完全に逆のことをやろうとしていることになる。基本に立ち返るべきだ」
一方で森永氏は「とはいえ、ニュースなどで株の激しい値動きを見ると投資したくなるもの。だから日中は甲子園を見て、夜はパリ五輪を見ることでシャットアウトするのがオススメだ」とアドバイスした。
そして森永氏は意外なことに「長期投資にとって暴落は“なくては困るもの”だ」と指摘した。
「すぐには信じがたいかもしれないが、長期投資をする立場にとって、今回のような暴落局面は逆に“ないと困るもの”だ。なぜなら、株価がずっと上がり続け、その間ずっと積み立て、どんどん買っていくと単価が上がる。そしてその後も一度も落ちることなく、最後の方でスポーンと下がった場合、大きく損をしてしまう。逆にガツンと下がる局面に何度か遭遇し、その際にも淡々と買っていれば平均単価がどんどん下がり、今後少し戻ることで想定以上に利益が出る。こういう下げ局面こそ、気にしないで淡々とコツコツと続けた方がいいのだ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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