見た目にシンプルだけに、その破壊力は想像するだけですさまじい。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」本戦トーナメント1回戦・第2試合、チーム永瀬 対 エントリーチームの模様が8月10日に放送された。この第3局で、9筋に飛車・香車・香車と縦一直線にどこまでも進める駒が3つ並ぶ“3段ロケット”が完成。聞き手を務めていた女流棋士から「怖くてしょうがない!」と悲鳴が飛んだ。
対局していたのはチーム永瀬・増田康宏八段(26)と、エントリーチーム・冨田誠也五段(28)。増田八段が居飛車・穴熊、冨田五段が四間飛車・銀冠という対抗形の将棋になった。お互い序盤はしっかりと陣形を固めてからいざ激突、という流れの中で、増田八段は穴熊の堅さを活かしてじりじりとリード。中盤に差し掛かったところではABEMAの「SHOGI AI」も勝率60~70%あたりを示していた。
しかし冨田五段も逆転へと、着々と戦力を蓄えていた。焦点となったのは9筋。飛車を展開し、香車の下に備えると、さらに駒台には香車が1枚。解説の真田圭一八段(51)が「△9三香打ちとして3段ロケットを作って…」とつぶやいたところ、富田五段がまさにその手を選択して3段ロケットが完成した。これに聞き手の竹部さゆり女流四段(46)も反応。「あっ、来ましたね、3段ロケット。これは迫力ありますねー」と興奮すると、さらに「怖くてしょうがないんですけど!大丈夫なんでしょうか」と、先手側から見た相手の3段ロケットの迫力を伝えていた。
再び、真田八段も「実際に耐えているかどうか微妙」と解説に迷うほどだったが、破壊力満点の攻めをうまく受け止めた増田八段がなんとか踏ん張り勝利を手にすると、ファンからも喝采が起きていた。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)