孫悟空の永遠のライバルであるベジータは本編で2度涙を流したことがある。ナメック星でフリーザに圧倒的な力の差を見せつけられたときと、フリーザに心臓を撃ち抜かれて悟空にフリーザを倒してくれと託したときだ。実は、本編とは別に劇場版においても1度だけ涙を見せたことがある。それは劇場版「ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!!悟空とベジータ」のワンシーンだった。
1995年3月に公開された劇場版「ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!!悟空とベジータ」は、アニメ「ドラゴンボール」シリーズの劇場公開作第15弾。原作は「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1984年から1995年まで約11年間連載された故・鳥山明氏による大ヒット漫画で、シリーズ累計発行部数は全世界で2億6000万部を超える。
アニメ「ドラゴンボールZ」魔人ブウ編における見どころのひとつといえば、孫悟天(CV:野沢雅子)とトランクス(CV:草尾毅)のちびっ子コンビが“フュージョン”(融合)して魔人ブウに挑むシーンだろう。孫悟空(CV:野沢雅子)はあの世に帰る直前、ピッコロ(CV:古川登志夫)との会話の中で“ベジータが生きていればやってみたかった”“やってくれなかったと思う”と話していたが、そんな悟空の願い(?)が劇場版で実現した。
劇場版「ドラゴンボールZ 復活のフュージョン!!悟空とベジータ」では、邪悪な気にとり憑かれた赤鬼が変身したジャネンバによってあの世とこの世の法則が崩れ大混乱をきたしていた。なんとかしようとジャネンバと戦った悟空だが、ジャネンバは超サイヤ人3に変身した悟空でも歯が立たないほどの強さだった。
変身が解け、“もうやられる……”と誰もが諦めかけた瞬間、悟空を助けに現れたのは魂だけになったはずのベジータ(堀川亮)だった。劇場版では悟空のピンチにタイミングよく現れるベジータだが、すぐに返り討ちにあってしまうのがお決まりパターン。超サイヤ人3でも敵わないジャネンバに、当然ベジータが通用するはずもなく……。
2人は針山に身を潜めると、「貴様に助けてもらう気などない」と強がるベジータに悟空はフュージョンを提案。しかしベジータはもちろん拒否の姿勢を崩さなかった。そこにジャネンバが針山を貫通する威力を持つ鋭い気弾を放ち2人を追い込んでいく。避け切れなかったベジータは倒れ込み、「あの世に来てまでも俺はカカロットに劣っているのか」とまさかの悔し涙を流したのだった。死んでもなお、誇り高くあろうとした男が見せた涙は、当時のファンの胸を強く締め付けるものだった。
結局ベジータは悟空とフュージョンすることを決意。フュージョンポーズには絶望したものの、2度目のフュージョンを成功させると“ゴジータ”に変身した。「俺は悟空でもベジータでもない。貴様を倒す者だ」との宣言にしびれた人も多いだろう。最強戦士ゴジータの何度でも観たくなるバトルシーンも圧巻の一言だ。
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