ルパン三世が愛される理由のひとつに、“女性には優しい”“女性に弱い”というわかりやすい特徴がある。女たらしな面もあるが女好きであるがゆえ、女性を傷つけることはできないルパン。劇場アニメ「ルパン三世 カリオストロの城」でも、序盤でさっそく同作のヒロインを助けるシーンがあり、物語が動き始めるのだった。
映画「ルパン三世 カリオストロの城」は、1979年に製作・公開されたモンキー・パンチ原作のアニメ「ルパン三世」劇場用映画シリーズ第2弾。後にスタジオジブリを設立する宮崎駿氏の初長編監督作品としても知られる。宮崎駿の個性と技術が詰まった、日本映画史に残るシリーズ屈指の人気作だ。
盗み出した大金がゴート札と呼ばれる偽札だと気づいたルパン三世(CV:山田康雄)と次元大介(CV:小林清志)は、ゴート札の秘密を探るため、ヨーロッパの小国・カリオストロ公国へやって来た。そこで謎の男たちに追われていた少女クラリス(CV:島本須美)を助けるのだが……。
謎多きゴート札の“震源地”といわれるカリオストロ公国に入ったルパンと次元は、のどかな海岸沿いの道路を猛スピードで逃げるウェディングドレス姿の少女とそれを追う黒ずくめの男たちによるカーチェイスに出くわした。瞬時に何かあると感じたルパンは愛車のフィアット500に飛び乗り、自ら車を走らせ2台を追いかける。助手席で楽しそうに「どっちにつく?」と聞いた次元に、ルパンは「女!」と即答。無条件で女性を助けようとするルパンに次元も「だろうな」とうなずくと、追手である男たちの車のタイヤに銃を向けた。
この少女こそが同国の亡き大公の娘クラリスであり、結婚を迫ってきた摂政のカリオストロ伯爵から逃れてきたところだった。ルパンらは追手を一度は撃退したが、結局クラリスは連れ去られてしまう。ここに、様々な思惑が入り乱れるなかルパンが囚われのクラリスを救い出す冒険活劇の幕が上がったのだった。
同作のラストシーンで銭形警部(CV:納谷悟朗)が口にする「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」というセリフはあまりにも有名だが、それを聞いたクラリスもまた「はい!」と嬉しそうにうなずいている。冒頭シーンを筆頭に、作品を通じてルパンからはクラリスに対する優しさが溢れていた。
原作:モンキー・パンチ(C)TMS