ヒザ蹴りに対して、これ以上ないパーフェクトなタイミングで左ストレートを一閃。期待の若手同士の対決で飛び出した芸術的な“迎撃カウンター”に解説陣が「撃ち落とした!」と珍リアクション。ファンからも「まるでハエ叩きのよう」と驚きの声が相次いだ。
8月18日に後楽園ホールで行われた「Krush.164」で海凪(team NOVA)と上遠野寧吾(POWER OF DREAM)が対戦。試合はダウンを奪い合う激しい攻防となったが、2ラウンドに海凪のヒザ蹴りに合わせた上遠野の芸術的な左の“迎撃”カウンターにどよめきが起きた。
ともに17歳、K-1グループ初参戦の両者。登竜門「K-1甲子園2023」東日本予選 -55kg優勝の海凪と、名門ジム「POWER OF DREAM」の秘蔵っ子である上遠野のKrushデビュー戦。奇遇にも、両者ともに誕生日は2006年9月22日。「ボクシング経験者でサウスポー」と共通点も多い一戦だ。
1ラウンド、先制したのは海凪だった。左ローからヒザを合わせに来た上遠野に左ストレートを合わせ開始25秒でダウンを奪う。ダウンを喫したものの、上遠野は冷静に立て直しをはかる。海凪がパンチの連打で前のめりに攻めるが、上遠野はしっかりガードを固めて左右のローからパンチと落ち着いた試合運び。ラウンド終了間際に一気にプレッシャーをかけ左ストレートでダウンを奪い返してイーブンでラウンドを終える。
2ラウンド、テンポ良く手数を見せる海凪に対し、一気に距離を縮め一発一発を着実に当て、相手をグラつかせる上遠野。そんななかインパクトのあるKOシーンが生まれる。
序盤から積極性では上回る海凪だが、ポイント的に劣勢と悟ったか、残り10秒の合図とともに勢いよく「飛びヒザ蹴り」で逆転を狙う。しかし、フワリと宙に浮いた瞬間に上遠野がカウンターの左を合わせて迎撃。見事な一撃でダウンを奪われる。
あまりにもタイミング良く入った迎撃パンチにファンも騒然。「撃墜だ」「飛びヒザにカウンター」「迎撃された」といった驚きのリアクション。解説の石川直生も「飛びヒザの距離が合わない“やめた”と着地した瞬間に撃ち落とした感じですね、いやあ凄いなあ」と驚けば、実況の大楽聡詞アナウンサーも「17歳、落ち着いてましたね」とコメント。
スローリプレーでも実況が「良くみてましたね」と思わず唸るベストタイミングで伸びた腕。ファンも改めて、相手の動きに即反応した上遠野の反射神経に「目がいい」「まるでハエ叩きのようだw」「何気に見たことがないな、今のカウンター」と、その冷静沈着ぶりを称賛した。
試合は3ラウンド、海凪が猛攻を仕掛けるも上遠野が確実にポイントを稼ぎながら試合をコントロール。判定3-0で僅差ながら勝利をもぎ取った。ワンダウンに泣いた海凪だが、残り3分間でのノンストップでの反撃を実況陣も高評価。緊迫感ある好勝負を繰り広げた両選手へ、今後の期待を寄せた。