ポスト岸田の行方は誰に…。自民党総裁選の報道が加熱する中で、いま改めて注目されているのが、岸田政権の総括だ。
【映像】「近くで支えていた小林さんの力不足」とひろゆきに突っ込まれる小林史明
支持率が伸び悩み、国民への負担増加などから“増税メガネ”、“「聞く力」はどこへ行った”と揶揄されたことも。しかし、不出馬を表明した会見で岸田総理は、賃上げや投資促進、外交面で大きな成果を上げることができたと、3年間の実績を強調した。
退陣表明後、中国やロシアの脅威を踏まえた防衛力、安全保障の強化、原発再稼働や福島第一原発の処理水海洋放出を改めて評価する報道も。
再評価の動きに対しては、「さんざん文句言って、やめるとなったら再評価って手のひら返しが過ぎる」「岸田さんになった時も菅さんがよかった論が出ていた」との声も上がっている。岸田総理が退陣表明後のいま再評価される背景にあるものは何なのか。「見せ方に問題があった」と主張する政治ジャーナリストと共に、日本にはどのようなリーダーが求められているのか、『ABEMA Prime』で考えた。
■岸田総理の業績「高く評価されるべきだと思う一方で、かっこよくできなかったのが辛かった」
岸田総理の業績には、外交では日米同盟強化、日韓関係改善 、G7広島サミット開催、グローバルサウスとの連携強化。経済では名目GDP初の600兆円台、大企業賃上げ率5.58%。政治改革では、少子化対策、派閥からの脱却、政治資金規正法を改正。少子化対策では児童手当・出産一時金など増額・拡充、多子世帯の大学無償化などが挙げられる。
政治ジャーナリストの安積明子氏は、「政策は高く評価されるべきだと思う一方で、見せ方や根回しがヘタだった。かっこよくできなかったのが辛かった」と指摘する。「安保三文書の件でも、いきなり12月に閣議決定だ。日本の防衛を考える上で、あれはすごく重要なことだと思う。それを国会が終わった後でいきなり出したのはありだったのか。国会議員にすれば、最終的な国民の運命は、国会が最終的には決める自負がある。そういう意味では国会の中で、評価は厳しかった」と話す。
自民党・デジタル社会推進本部事務総長の小林史明衆議院議員は「すごい人柄が良くて、仕事もしっかりやる方だ。しかし、安積さんのご指摘で言うと、正直で、純粋な方なので、したたかな進め方をできる方ではなかった。安倍政権には、いろいろな工夫があった。政権としてやりたいことは、あえて自民党側、公明党側から提案が出てくるようなプロセス。急に政府が決めた形にならない工夫がとてもあった。そういうことができなかったのは、私も含めて努力不足だったと思う」と振り返る。
■ブランディングを作り上げる人がいれば、評価されたのか
岸田総理は、国民から喜ばれるはずの定額減税などをしても批判の対象になったり、派閥解消なども評価されないなど、根回し不足などが原因で見せ方についてもったいない部分があったのではと安積氏は指摘する。
ギャルタレントのあおちゃんぺは「岸田さんは周りの人に恵まれなかったのではないか。私は岸田政権の仕事ぶりを評価できるほどの情報を持っていないが、みなさんの意見を聞いていると、ブランディング出来る人を近くに置いておくべきだったのではと感じる。菅政権の時も"安倍に菅あり、菅に菅なし"と言われていたが、その現象が岸田さんにも起きていて、近くに優秀なブランディングが出来る方がいれば、もう少し見せ方に工夫が出来て、評価されたのかなと思う」と述べる。
これに対し小林氏は「政治全般的に思うが、安倍総理は相当そこにこだわってらっしゃった。常に、周辺のスタッフの方々が意識をされる状況があった。だが、基本的に政治の世界、行政の世界もマーケティングやプロモーション、ブランディング専門の方を人材として配置している状況にない。なので、そこが国民にどんなに良い政策を作っても国民に届かないのが根本的な問題だ」と答えた。
退任発表前のメディアでは「衝撃・史上最低の支持率! 」「政権交代待望論が噴出 」「政権は崖っぷち“増税クソメガネ”の印象払拭できず」 など言われていたが、退任発表後は「経済大転換 安倍総理もできなかったことを達成」 「政権が出した外交的成果 岸田総理の手腕」 などと評価している。
安積氏は「私は“増税メガネ”というワードは、Xなどのハッシュタグで結構見た。Xで総理が発信されても、多分長い文章だったら読まれないんじゃないかと。それが一つのワードでハッシュタグで拡散すると、年代を問わず、若い人たちにも伝わっていく。そういう意味ではPRというやり方があったんじゃないかなと思う」と指摘。
小林氏は「早くからある種の"レッテル"が貼られてしまった。岸田さんを批判した方がビュー数が伸びる、みたいな状況になってしまった。実は岸田さんを評価してる人もX上やSNS上で評価しづらいという状況があった」。その上で、「政治側は、むしろ若年層の人たちに政治の情報を届けたいし、今まさに賃金を上げて、リスキリングをして、さらに自分たちのキャリアを自ら築こうというところを届けたい。だけど、届けきれなかった。それはもう努力不足だということだ」と主張する。
一方、ひろゆき氏は「見せ方はあまり関係ない」といい、「要するに政治家に一般の人は興味がないと思っている。根回しが大事だと言っている人たちのほうがよくない。派閥は自民党の国会議員にとって便利だから作っているわけで、それをみんなでなくそうと言ってできるわけがない。なので、強権を振るってなくした。根回しをやるのであれば、悪くなっている状況で話し合いをしたら、後回しにしようという結論になっちゃう。“社会には理解されないかもしれない、でもやろう”というのが、大事だと思う。なので、根回しが必要とか、SNSで演出するのは、日本にとって必要なことと全然違う方向に行くんじゃないか」との見方を示した。
小林氏は「総理をやっている間はすごく批判されるけど、終わったらすごく評価される。政権のオペレーションが続いていると、日々の不満は全て総理に行きたくなる。そのことと、改善に向かってやっている法律や予算という話は分けて、本当は評価されていくといいと思う。どれくらい改善しているのかが見えていけば評価につながる。地上波だろうがネットだろうが、とにかく現状に対する問題がぶつかってくる状態なので、これは我々も情報の出し方、届け方を工夫しなきゃいけない。報道の世界でも冷静にそこを分けて提供していただくのがいいんじゃないか」との考えを述べた。
■ポスト岸田の行方は誰に
自民党総裁選では、小林鷹之前経済安保担当大臣が出馬を表明し、小泉元環境大臣、石破元幹事長など、あわせて10人の出馬が取り沙汰されている。
小林史明氏は出馬しないのか。小林氏は「私自身は、岸田政権を近くで支えた者の一人だ。岸田さんは9月末まで総理総裁だから、このまま賃金を上げていく政策や、外交、憲法改正などやらなきゃいけない。それの遂行するところを支え続けることにまず全力を傾けたいと思っている」と答える。
また、総裁選で「小泉さんが出たら、小泉さんに入れる」といい、理由については「1つ目は小泉さんじゃないと意思決定できない政策があると思っているから。党内の力学に左右されると党内の根回しや相談が必要になってしまう。でも、そうじゃなくて、今まで決めようと思ったことが決められるということは、圧倒的に国民から理解を得ることが重要だ。議員から反対されるかもしれないが、国民が支持する政策を決断できるのは小泉さんだから。2つ目は岸田総理も退任会見の時に言っているが、今回の政治資金の問題を絶対に後戻りさせないことがすごく大事。そういう意味では確実に後戻りさせずにきちんと改革を進める意思があるのが小泉さんだと思っている」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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