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【映像】亀田和毅、運命の最終ラウンド

 IBFフェザー級挑戦者決定戦が24日、大阪・大和アリーナで行われ、同級3位の亀田和毅(TMK)が同2位のレラト・ドラミニ(南アフリカ)に2-1判定勝ち。昨年10月に2-1判定で敗れた因縁のライバルに競り勝ち、世界タイトル挑戦のパスポートを手にした。

【映像】亀田和毅、運命の最終ラウンド

 前に出て相手を殴る――。

 和毅がスタートから公約通りのボクシングを見せた。体格差を生かしてグイグイと圧力をかけ、ジャブ、左のダブルを上下に打ち込んでいく立ち上がり。常に先手を取ってドラミニを下がらせる姿から、この試合にかける強い意志が伝わってきた。

 昨年10月、東京で行われたIBF2位決定戦では、ドラミニに2-1判定で惜敗した。ともにディフェンスとスピードに自信を持つ両者の対戦は、駆け引きに多くの時間を割き、その結果互いに決め手を欠き、採点の難しいラウンドが続いた。最終的に和毅は敗れ、これに厳しく反応したのが亀田家の面々だった。

 元世界王者の長兄、興毅プロモーターは「ああいう戦い方をするならもう辞めたほうがいい」と消極的なスタイルを責め、同じく元世界王者の次兄、KWORLD3の大毅会長は「これ以上やってもボロが出るだけ。第2の人生を歩んだほうがいい」と厳しく言い放った。

 兄たちの言葉は和毅の心にグサッと刺さったことだろう。それでも現役続行の意思は固く、家族の提案で再び父の史朗氏とタッグを組み、「負けたら引退」の覚悟を持ってカムバックの道を歩み始めた。再起にあたって強く志したのが、冒頭の「前に出て相手を殴る」だった。

 その心意気を十分に感じさせる立ち上がりだったが、ドラミニも簡単にのみ込まれるほど柔な相手ではない。2回からは和毅のアタックをブロックでしのぎながら盛んに左右のアッパーや鋭いジャブで反撃。左肩を前に出して和毅の打ちにくい角度を作り出し、技巧派ぶりを遺憾なく発揮していった。

 ドラミニは和毅戦に勝利したあと、アーノルド・ケガイ(ウクライナ)との挑戦者決定戦(1位決定戦)が決まりながら、ケガイのキャンセルで試合は流れた。大手プロモーションの傘下ではないドラミニにチャンスは決して多くはない。「何としても世界へ」との思いは和毅に勝るとも劣らないものがあったのである。

 迎えた5回、大きな山場が訪れる。和毅がドラミニをロープに押し込んでワンツーを連打、これが堅牢だったドラミニのガードを突き破ると、元気だった南アフリカ人のヒザが揺れる。すかさず和毅はラッシュ。逃れようとしたドラミニが後ろに体重を傾けると、そのままたたらを踏んでダウンだ。大和アリーナは大歓声。和毅はなおも攻め立てるが、フィニッシュとはならなかった。

 後半に入ると、和毅の勢いが前半ほどではなくなり、立て直したドラミニと、一進一退の展開が繰り広げられる。和毅はドラミニのガードの上から連打を浴びせ、左ボディを突き、ドラミニはアッパー、右ストレートを繰り出す。前に出る和毅がやや優勢に見えるものの、互いに決定打は出ず、スコアが読めないまま試合は終盤へ。それでも和毅は最後まで手を出し続け、ゴールテープを切った。

 読み上げられたスコアは114-113でドラミニ、次は和毅、最後は116-111で和毅の勝利が告げられた。試合後、マイクを向けられた和毅は「1ラウンドから12ラウンドまで前に出てプレッシャーをかけていった。これであの判定だとちょっと考えないといけない」と判定に不満を示したが、「リベンジマッチはアマチュアでもプロでも全部負けてきた。それに勝てたのは自信になった」と自分に言い聞かせた。スツールに座ったまま、呆然とその場をなかなか立ち去ろうとしなかったドラミニの姿も印象的だった。

 和毅が「あれだけ前に出ているのに」との思ったのは理解できる。ただ、手打ち気味の高速連打はブロックされることが多く、ダウン以外にダメージを与えるような有効打が少なかったのは事実だ。もちろんドラミニの攻撃にも同じことが言え、和毅に大きなダメージを与えることはできなかった。スコアが競るのは仕方ないが、和毅の気持ち、手数が勝利の決め手になったと言えるだろう。

 これにより和毅はIBFフェザー級王者、アンジェロ・レオ(米)への挑戦権を得た。レオは元WBOスーパーバンタム級王者で、今月10日に王者ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)を10回TKOで下して2階級制覇を達成した実力者だ。

 和毅は「レオとは2、3回スパーリングをしたことがある。ガンガン前に出てくる選手なので、もっとフィジカルを鍛えないといけない。試合になれば自分も1ラウンドからガンガン行きます」と決意表明した。

 本人が「まだまだ課題はたくさんある」と語ったように、史郎氏と取り組む「攻撃的ボクシング」は道半ば。より明確にポイントを取るために、今後は持ち前のスピードやテクニックと泥臭く「前に出て殴る」の融合にさらに磨きをかけていく必要がある。その先に2019年7月のレイ・バルガス(メキシコ)戦以来となる久しぶりの世界タイトルマッチが見えてくるだろう。 

【映像】亀田和毅、運命の最終ラウンド
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