温厚な人ほどキレると怖い。温厚な人がキレたときのインパクトは絶大だ。「ドラゴンボール」に登場する心優しくて戦いを好まない人造人間8号(CV:飯塚昭三)が初めてマジギレした瞬間に、“優しい人は絶対怒らせてはいけない”と強烈に胸に刻まれた当時の視聴者は多かった。
【映像】悟空が打たれ“ハッチャン”が激怒したシーン(15分40秒ごろ〜)
1986年から1989年に放送されたTVアニメ「ドラゴンボール」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1984年から1995年まで約11年間連載された鳥山明の同名漫画が原作。シリーズ累計発行部数が全世界で2億6000万部を超える大ヒット漫画で、以降も「Z」「GT」「改」「超」など数々のアニメシリーズが制作されたほか、20作を超える劇場版も公開。数多くのゲームシリーズにもなっている。40周年を迎えた2024年、故・鳥山明氏が原作・ストーリー・キャラクターデザインを手掛けた完全新作アニメシリーズ「ドラゴンボールDAIMA」が秋に放送予定となっている。
ドラゴンボールをめぐりレッドリボン軍と敵対していた孫悟空(CV:野沢雅子)は、助けてもらったお礼に人質となった村長を助けるべく、レッドリボン軍ホワイト基地《マッスルタワー》に乗り込んだ。最上階にたどり着いた悟空は、圧倒的な強さでホワイト将軍を追い詰める。とどめの一撃を入れようとしたそのとき、体は大きいが心優しき人造人間8号(ハッチャン)は悟空が振りかぶった手をつかみ「もうやめて」と戦いを止めようとした。
目をウルウルさせながら「ケンカするのよくない。これぐらいで許してあげて」と訴えるハッチャンの姿を見て悟空も了承。ホワイト将軍も負けを認め戦いは終わったかに思われた。しかし、ホワイト将軍は閉じ込めていた村長を解放するフリをして、村長の頭に銃を突きつける。
オロオロするハッチャン。悟空もホワイト将軍の言うことを聞くしかなくなり、仕方なく指示通りホワイト将軍に背を向けた。するとその瞬間、ホワイト将軍は悟空に向けて発砲。悟空は後ろから頭を撃たれてしまった。
これにハッチャンの怒りが爆発する。悟空に向けられて発射されたとどめの1発を自分の身を挺して防ぐと、ハッチャンは怒りに震えるその右腕を振り下ろし、ホワイト将軍に渾身の一撃。殴られたホワイト将軍の体はタワーの壁を突き破り、はるか山の向こうまで吹き飛ばされてしまった。
なんとか無事だった悟空も「ハッチャン、怒るとすげえなあ」とそのパワー驚いていたが、視聴者も“悟空より強いんじゃないか”と誰もが思ったワンシーンだった。
(C)バードスタジオ/集英社・東映アニメーション