「ドラゴンボール」に登場する筋斗雲には、清い心を持つ“よいこ”しか乗ることができない。それゆえ孫悟空の前の持ち主である亀仙人も筋斗雲に乗れないのだが、「ドラゴンボール」と「Dr.スランプ」の伝説のコラボ回ではアラレちゃんが見事に乗ってみせ、両作品ともに主人公が無邪気であることが証明された瞬間があった。
1986年から1989年に放送されたTVアニメ「ドラゴンボール」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1984年から1995年まで約11年間連載された鳥山明の同名漫画が原作。シリーズ累計発行部数が全世界で2億6000万部を超える大ヒット漫画で、以降も「Z」「GT」「改」「超」など数々のアニメシリーズが制作されたほか、20作を超える劇場版も公開。数多くのゲームシリーズにもなっている。40周年を迎えた2024年、故・鳥山明氏が原作・ストーリー・キャラクターデザインを手掛けた完全新作アニメシリーズ「ドラゴンボールDAIMA」が秋に放送予定となっている。
一方、同じく鳥山明による漫画「Dr.スランプ」が原作のアニメ「Dr.スランプ アラレちゃん」は1981年から1986年に放送。天才科学者(?)の則巻千兵衛が作った人間型ロボット・則巻アラレ(CV:小山茉美)が、ペンギン村を舞台に暴れまわるギャグアニメで、「んちゃ!」などの流行語を生み出した。
「ドラゴンボール」第55話で、悟空(CV:野沢雅子)がペンギン村に迷い込み則巻アラレと初対面する。続く56話ではドラゴンボールを巡ってレッドリボン軍と激しい争いを繰り広げていた悟空に対し、そんな緊張感はお構いなしにアラレは遊んでほしいと言い出した。ブルー将軍に奪われたドラゴンボールを取り返すことで頭がいっぱいの悟空は「悪いけどオラ急いでんだ」と筋斗雲で飛び去りブルー将軍が墜落した辺りを目指す。これを見たアラレは「かあーっくいいーっ!!!」と走って空を飛ぶ悟空を追いかけた。
悟空が墜落現場に到着した頃には、すでにブルー将軍も行方をくらませていた。「どこにいきやがったんだ!?」と焦る悟空のもとに、アラレがほどなく合流。走ってきたというアラレに「オラの筋斗雲と同じぐらい速いじゃねえか……!!」と悟空は目を丸くする。
再び筋斗雲を呼びブルー将軍を追おうとする悟空に、アラレは「あたしも一緒に悪いやつ探す!」と言うと「あたしもそれにのせてちょ!」と筋斗雲に乗りたいと言い出した。前述のとおり筋斗雲に乗れる条件は“清い心を持っていること”。実際に「ドラゴンボール」第55話までの間で筋斗雲に乗ることができたのは悟空以外ではチチ、人魚、ランチのわずか3人だけという始末だった。悟空はこれまでの経験から「いいけど……乗れるかな~?」と若干不安そうな様子を見せる。
しかし無邪気さではアラレだって負けていない。則巻ガジラ(ガッちゃん)と一緒にすんなり筋斗雲に乗ることができ、やはり“よいこ”であることが証明されたのだった。
なお、その後遭遇した木緑あかね(CV:杉山佳寿子)も「おれにもちょっと乗せろよな」と筋斗雲に乗ろうとしたが、当然のように雲をすり抜け落下している。
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