【明治安田J1リーグ】サンフレッチェ広島3-2FC東京(8月31日/エディオンピースウイング広島)
8月31日のサンフレッチェ広島vsFC東京は、台風10号の影響で直前まで「中止」と「決行」が揺れたなかで開催された。FC東京は3日を費やして現地入り、限られたファン・サポーターもなんとかアウェースタジアムまで駆けつけたものの、3-2で敗戦。選手もサポーターを悔し涙を流す結果となった。
この試合は、さまざまな感情が入り交じる戦いだった。
今節のJ1リーグは、同日開催予定だった3試合が中止。台風10号の影響が懸念される東海、関西地域のホームチームは厳しい決断を迫られた。広島も同様だ。刻一刻と変わる天候状況に直前まで開催可否が定まらないなか、FC東京は29日、予定を繰り上げて広島へ向けて出発した。
しかし東海道新幹線の運転見合わせにより車中7時間の缶詰めの後、途中で急遽一泊。翌30日も交通手段が整わず、バスを利用して東京へと引き返した。そして試合当日の31日、今度は空路で移動。3日目にしてようやく現地入りするという選手のコンディション低下が心配される状況となっていた。
応援するファン・サポーターも困難続きだった。移動手段の影響で現地に辿り着けなかった人も少なくない。それでも、なんとかスタジアムに足を運んだファン・サポーターは、チームの勝利を信じて試合前からスタンドで声を張り上げた。
FC東京にとって、この試合はいつも以上に神経を注ぐ一戦だったことは間違いない。広島のMFトルガイ・アルスランにハットトリックを決められた時点で、気持ちが折れてもおかしくはなかった。しかし、彼らはここから反撃に転じた。
79分、交代で入ったFC東京 俵積田晃太が左サイドを駆け上がるカウンターから最後は小柏剛が決めて1点を返すと、90+1分には、右CKの意表を突く形から仲川輝人がボックス内に切り込んでシュート性のボールを中央に送ってオウンゴールを誘った。その後も猛攻を見せ、あと一歩で同点というところまで息を吹き返した。だが、結果は3-2で惜敗した。
試合後、スタンドへ挨拶に向かう仲川の目は悔し涙で溢れ、声援を送ったファン・サポーターも同様に涙した。
「悔しい。今も悔しい。今抱えてるいろんな想いも含めて無理して広島来て応援できて良かったと思う」「負けたけど次に繋がる試合だった!!!」「やっぱり東京が好き。東京の選手が大好き」「移動大変だったのに選手の気迫が伝わってくるプレーを90分見せていただいた」「今日はほんとうによい試合だった」
仲川に対しても「テルの涙。このチームをどうにか勝たせたい想いでプレーしてる姿勢に胸熱です」「やっぱりテルが好きだ」「こういう漢がチームには必要」と熱い声が溢れた。
そして仲川もクラブ公式Xを通して「ファン・サポーターのみなさまへ」というメッセージを送った。
「みなさんの想い届いてます。ありがとうございます。今はこれしか言えませんが、想いに応えるために全員で全力で頑張ります」
FC東京にとっては、6試合未勝利と喜ばしい状況ではないものの、5試合ぶりにゴールレスは解消し、ファン・サポーターが綴るように「次に繋がる」ゲームができた。多くの困難に見舞われた挙句の敗戦ではあったが、決して悲観する内容ばかりだったわけではないだろう。
(ABEMA de DAZN/明治安田J1リーグ)