色鮮やかな鯉が泳ぐ池。一見きれいな写真だが、よく見ると池の底にキラキラとしたものが沈んでいる。
また、東京ディズニーランドのアトラクションの池にもキラキラしたものが…
これらは観光客によって投げ入れられた硬貨だ。なぜ人は池に硬貨を投げ入れようとするのか?
古くからの風習に詳しい東北福祉大学の千葉公慈学長に聞いた。
「『清く健やかに生きていきたい』という人間の願いからすると、お金というのはある意味で罪業。罪や咎を引き付け、念を込める存在として昔から扱われている。同時にいいものだけでなく、悪いものも邪気も含めて“吸着”している。そのため、それ(お金)を洗浄するということで(罪を)洗おうとしているのでは」
自分の罪を洗うために行われ始めたという投げ銭。
投げ銭といえば有名なのはイタリア・ローマにあるトレビの泉だが、日本ではいつから投げ銭文化が始まったのか。
「文献でたどれる確実なところでいうと、鎌倉時代の北条時頼が銭洗い弁天を祀った時に、お金を水で洗ったとある。時の執権=最高権力者なので、幕府の最高位の絶大な発信力によって、それが一気に日本中にお金を水で洗うという形の文化が広まった」(千葉学長)
そんな歴史ある行為だが「迷惑だ」という声も上がっている。アトラクションへの硬貨を投げ入れについて、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは「小銭に限らず装飾品を破損する行為は控えていただいています。今回の小銭の投げ入れも、そうした行為に該当するものとみなしています」とコメントした。
一方、山梨県忍野村にある県富嶽百景選定地にも指定された「忍野八海」でも観光客による硬貨の投げ入れが問題となっている。
池の周りには「池への硬貨投入禁止」の看板があるにもかかわらず澄み切った池の底にはキラキラとした硬貨が落ちているのが確認できる。
そんな現状に忍野村役場は「看板による投入禁止を呼び掛けているが、現状特に減っていない。水質については詳しく調査していないので定かではないが、景観が損なわれてしまうため、やめてほしい」と呼びかけている。
自らの罪や咎を洗い健康を願うために始まったとされる投げ銭だが、投げ入れた先に迷惑をかけてしまっては、むしろ逆効果なのではないだろうか。
「自己満足の他人の迷惑ということになる。自分は禊のつもりでも、神や仏にとって迷惑であれば禊にならない。禊をする際は約束事に従うことが大事。自分が納得することも大事だが同時に周囲の納得も必要で作法に則ったものでなければならない。作法やマナーに則った上で自分をいかに満足させるかが大事になる」(千葉学長)
(『ABEMAヒルズ』より)
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