自民党・小泉進次郎元環境大臣が6日、都内で記者会見し、自民党総裁選(12日に告示、27日に投開票)への立候補を正式に表明した。
「夫婦別姓」「解雇規制」など様々な争点がある中で小泉氏は何を訴え、我々はどこを注視すべきなのか? ノンフィクションライターの石戸諭氏と考えた。
まず石戸氏は出馬会見の全体的な印象について「もう少し練った政策が出てくるかと想定していたが、会見の中身を見た限りにおいては思ったより“総花的”だった」と評価。
続いて、大きな争点となっている「政治資金問題」について「国民の審判を仰ぐ。“当事者議 員”を選挙で公認するかどうかは厳正に判断する」と述べた小泉氏について石戸氏は「公認について明言を避けているが、クリアできそうな“公認の条件”をいくつか設けている。選挙が近いということを考えると、この判断は小泉氏の考える“現実的な落としどころ”というところだろう」と述べた。
小泉氏は会見において「解雇規制の見直し」や「ライドシェアの全面解禁」など、「聖域なき規制改革」を打ち出したが、石戸氏は「解雇規制の見直しは大きなポイントだ」と指摘した。
「河野太郎デジタル大臣が率先して語って物議を醸している解雇規制の見直しを打ち出したところに注目したい。解雇する際に会社がお金を負担する“解雇の金銭解決”を認めること自体は労働者にもメリットになる面もあるだけに、丁寧な議論が必要だろう。しかし、解雇規制緩和論で出てくる『労働者の流動性を高めることで生産性が上がる』という主張は好景気でなければ成り立たない話だ。経済成長、好景気の中で衰退していく産業から、人が不足しがちになる伸びている産業へ人の移動をスムーズにするのであればいいが、残念ながら今の日本はその状況にない。小泉氏は『インフレと金利がある環境でも持続的に経済が成長できるよう、日本経済の体質強化する』と主張しているが、経済成長に向けた具体的なマクロ経済政策がなかった。その点はかなり気になる」
さらに小泉氏は会見において「人生の選択肢の拡大」として、「選択的夫婦別姓を認める」と「年収の壁の撤廃」を掲げた。
小泉氏が「もう議論ではなく決着をつける時」と話した選択的夫婦別姓について石戸氏は「かねてから小泉氏は選択的夫婦別姓と同性婚に関しては強い賛成の姿勢を示してきたが、『同性婚は見送った』ことが明らかになったことがポイントの一つ。もう一つ別の見方をすれば、小泉氏が選択的夫婦別姓を掲げたことで立憲民主党は苦しくなるだろう。というのも、『これは自民党ならできないだろう』という柱の1本を持って行かれた形になったからだ」と分析した。
年収の壁の撤廃については評価しつつ「厚生年金加入を進めること自体は悪くないが、やはりここでも現役世代にとってプラスになるような政策が必要になる。ピンポイントではなく全体像を見せる必要がある。経済については現状、どういう方向性を打ち出したいのまだ見えない」と懸念を示した。
◼︎「小泉氏出馬」で動き出す政局
小泉氏の会見を受けて他の陣営からは「すぐ解散すると言えば、みんなついてくると思ったのだろう。いい戦略だ」といった声がある一方、「これは公約なのか。相変わらず中身がない」といった冷ややかな声が出ている。
また、裏金問題をめぐり選挙の公認に触れたことに関係議員からは「不愉快だ」といった声も上がっている。
小泉氏は地方票において“圧倒的”だろうとの見方がある中で、党内基盤のもろさが課題だ。決選投票では議員票が鍵となるため、後ろ盾の菅前総理も強い危機感を示しており、「決選投票はどうなるかわからない」と他陣営からの引き離しを警戒し、自ら票固めに動いている。
総裁選にはこれで6人が正式に表明したこととなり、来週9日には高市経済安保担当大臣が、 10日には加藤元官房長官が出馬表明する方向だ。
選挙の顔として小泉氏に期待が集まる一方で、ベテラン議員からは世代交代への反発もあり、決選投票を見据えた各陣営の駆け引きが激しくなっている。
(『ABEMAヒルズ』より)
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