走り出したら止まらない。現役最年少棋士が圧巻の3戦全勝を飾った。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」本戦トーナメント準決勝・第2試合、チーム豊島 対 チーム稲葉の模様が9月7日に放送された。チーム稲葉のエース・藤本渚五段(19)は、相手チーム全員から白星をもぎ取る大活躍でチームに貢献。同門の兄弟子・稲葉陽八段(36)が率いる自軍を決勝戦へと導いた。
合言葉は「イケイケ」!?物静かな藤本五段のキャラクターとはかけ離れたようなワードながら、その作戦が功を奏した。第1局の登板を立候補すると、チーム豊島の大石直嗣七段(34)と激突。強く鋭いながら丁寧な指し回しが持ち味の先輩棋士を相手に、チームに勢いをつける逆転勝ちを飾り好発進を遂げた。
この勢いに、稲葉八段から第2局の連投を打診されると「ぜひ!」。アクセル全開の状態で相手リーダーの豊島将之九段(34)戦へと向かった。豊島九段と言えば、タイトル獲得6期で史上4人目の“竜王・名人”を経験するなど、現在の将棋界をけん引するトップ棋士だ。しかし、若き藤本五段は臆することなく得意の雁木をぶつけると、大先輩を圧倒して147手で勝利を飾ってみせた。
この快勝劇に、ファンは衝撃を受けた様子。「若い頭脳」「うまく指すもんだわ」「まじかよつえーな」「時代の転換期や」「強い」「綺麗な投了」「こんな展開になるとは・・・」と多くのコメントが寄せられることとなった。
3度目の登場となったのは、チーム4勝1敗で迎えた第6局。自分がこの勝負に決着を付ける、と糸谷哲郎八段(35)戦へ向かった。糸谷八段に「どちらの雁木が強いか」と勝負をぶつけられたものの、藤本五段がペースを掴むと相手に楽を指せない指し回しで圧倒。個人3連勝達成とともにチームの勝利を決めた。
目指した『イケイケ』の通りの大活躍を見せた藤本五段は、「内容もそれなりに満足できるものでした」と語りながらも、表情は控えめな笑顔。「本戦1回戦では自分が散々でリーダーに救ってもらった形だったので、今度は自分が、という気持ちで臨めて良かったです」とホッとした表情を見せた。前年覇者のチーム永瀬と激突する決勝戦を見据え、「ここまできたからには優勝したい」とも。「自分の実力を出すということを一番に頑張りたい。戦ってみたいのは永瀬(拓矢)九段。勝ちたいです」と強い言葉とともに闘志を燃やしていた。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)