孫悟空の親友といえばクリリンだが、実は最初に戦い、その後仲間になったのがヤムチャだったことを覚えているファンはどれだけいるだろうか。仲間としての月日は最も長いにもかかわらず、そして顔は二枚目であるにもかかわらず、いまいち見せ場が少ない。一体いつからそんな扱いになってしまったのか……。当時のファンも失笑した天下一武道会の“あの試合”こそ、その後のヤムチャの運命を決定づけていたのかもしれない。
【映像】これは痛い!ヤムチャが股間を強打する瞬間(17分35秒ごろ~)
1986年から1989年に放送されたTVアニメ「ドラゴンボール」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1984年から1995年まで約11年間連載された鳥山明の同名漫画が原作。シリーズ累計発行部数が全世界で2億6000万部を超える大ヒット漫画で、以降も「Z」「GT」「改」「超」など数々のアニメシリーズが制作されたほか、20作を超える劇場版も公開。数多くのゲームシリーズにもなっている。40周年を迎えた2024年、故・鳥山明氏が原作・ストーリー・キャラクターデザインを手掛けた完全新作アニメシリーズ「ドラゴンボールDAIMA」が10月より放送される。
ヤムチャ(CV:古谷徹)といえば「ドラゴンボールZ」ではザコキャラだった栽培マンの自爆で唯一殺されてしまったシーンが多くのファンの記憶に残っている。そして人造人間編では人造人間20号になすすべなく胸を貫かれ、仲間たちのなかで最初に瀕死の状態に陥ってしまったかわいそうな人物だ。
まだヤムチャが輝いていた頃に開催された第23回天下一武道会はハプニングの連続だった。第1試合の天津飯(CV:鈴置洋孝)VS桃白白(CV:大塚周夫)戦ではサイボーグ化した桃白白が天津飯の胸に生涯残る傷をつけ、第2試合の悟空(CV:野沢雅子)VSチチ(CV:荘真由美)では試合終了後に2人が結婚。第3試合のクリリン(CV:田中真弓)VSマジュニア(CV:古川登志夫)ではクリリンが予想外の善戦で会場を沸かせた。
そして第4試合、ヤムチャVSシェン(CV:青野武)は、当初シェンはただのドジなおじさんを装っていたため、ヤムチャが楽勝で初の1回戦突破を飾るというのが大方の予想だった。ヤムチャも完全にシェンを舐めてかかっていたが、攻撃をしかけたシェンがバランスを崩してすっ転んだ際、じたばたさせた足が不運にもわき腹にクリティカルヒットしてしまいヤムチャは悶絶。とんだハプニングに観客も爆笑した。
恥をかかされたヤムチャは、試合を早く終わらせたい一心で飛び蹴りをしかける。シェンが「ひいっ!!おっかない!」と頭をかかえてこれを避けると、下げた頭が見事にヤムチャの股間を直撃してしまった。ヤムチャの表情がみるみるうちに変わっていき、股間を抑えながら倒れ込んでしまう。情けない悲鳴をあげながらまたもや悶絶するヤムチャに、武道会場は再び笑いの渦に包まれた。
男ならわかるヤムチャの悲劇に、当時のファンも同情しまくったことだろう。このときはまだ、悟空や亀仙人ら一部の武芸者を除き誰もシェンの実力に気がついていなかった。
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