天下一武道会といえば欠かせないのが、出場者だけでなく進行役のアナウンサー(CV:内海賢二)だ。さすが天下一の強者を決める大会の実況者だけあって、根性だけは天下一かもしれない。特にファンがプロの鏡だと実感させられたのは、恐怖で観客が逃げ出した武道会場で一人残って実況し続けた第23回天下一武道会の決勝戦だった。
【映像】びびりながらも逃げない天下一武道会アナウンサー(10分20秒ごろ~)
1986年から1989年に放送されたTVアニメ「ドラゴンボール」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1984年から1995年まで約11年間連載された鳥山明の同名漫画が原作。シリーズ累計発行部数が全世界で2億6000万部を超える大ヒット漫画で、以降も「Z」「GT」「改」「超」など数々のアニメシリーズが制作されたほか、20作を超える劇場版も公開。数多くのゲームシリーズにもなっている。40周年を迎えた2024年、故・鳥山明氏が原作・ストーリー・キャラクターデザインを手掛けた完全新作アニメシリーズ「ドラゴンボールDAIMA」が10月より放送される。
悟空が放った超かめはめ波を喰らったマジュニア(CV:古川登志夫)は「一瞬とはいえ恐怖を与えおったな………!!」とブチ切れ。服はボロボロになり、頭に巻いていたターバンもなくなってしまうと、武道会場はその顔がピッコロ大魔王にそっくりだとざわつき始めた。
マジュニアが「このオレはピッコロ大魔王の生まれかわりだっ!!!!」と正体を明かすと、かつて世界を恐怖に陥れた悪の名に会場は大パニックに。観客たちは一斉に武道会場から逃げ出してしまった。戦う2人を除いて残ったのは悟空の仲間たちだけ……かに思われたが、恐怖にかられつつもアナウンサーはその場に留まり、「さ…さあー、こ…これは大変なことになりました!!!」と実況をやめることはなかったのだった。これを隣で見ていたブルマ(CV:鶴ひろみ)も「………プロね……」とその根性に驚いていた。
ピッコロ(マジュニア)は魔術で服や剣を出したり、体を再生したりといった能力があることが知られているが、巨大化できることを知っているファンはどれほどいるだろうか。劇場版「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」では約36年ぶりに巨大化した姿を披露したが、初めて巨大化したのはこの第23回天下一武道会の決勝戦だった。
どデカくなったピッコロを見たアナウンサーは開いた口が塞がらず、しばらくは無言で悟空とピッコロの戦いを見守っていたが、ピッコロがさらに大きくなると、自分の仕事を思い出したかのように実況を再開。「で…でで…でかいっ!!! さらにものすごい大きさ…!!!! まるで山ですっ!!!!」悟空の仲間以外誰もいない会場でひとり、実況を続けていた。
巻き込まれれば自分の命も危ない危険な場所で、それでも逃げ出さずに自分の仕事をまっとうする天下一武道会アナウンサーは、まさに肝の据わったプロ中のプロだった。
(C)バードスタジオ/集英社・東映アニメーション