兵庫県の斎藤元彦知事への不信任決議案が19日、全会一致で可決された。これにより斎藤知事は辞職か、県議会の解散をするかどうかについて今後10日以内での判断を迫られている。今後の展望を専門家に聞いた。
不信任決議案が可決された斎藤知事に残された選択肢は①辞職②議会の解散③失職(辞職も議会解散も行わなかった場合)の3つ。そして、もし再び知事を目指して立候補する場合は「出直し選挙」に挑むことになる。
これを踏まえ、斎藤知事はどういう決断をするのか。行政管理研究センター研究員の岡野裕元氏は
「有権者や住民から見ると、失職となると“やや消極的”なイメージを受ける。他方で、辞職となると、知事が自ら職を辞して自らの意思で県民に問うとなるので、(失職に比べて)“やや積極的”なイメージを与えられる」
一方で、このタイミングで辞職を選択することは、斎藤知事の“これまでの主張”と矛盾してしまうとも岡野氏は指摘する。
「もし辞職を選択するなら、なぜ議会の各会派が『辞任してください』と要求しているタイミングで辞任を選択しなかったのかということを問われる可能性がある」
一貫して辞職要求に応じなかった姿勢が、ここにきて仇となっているわけだが、一方で「議会の解散」を選んでも、斎藤知事を支持してくれる議員を多く集めることはかなり困難だとみられている。岡野氏は「斎藤知事はおそらく政治基盤は持っていないので、知事が全く新しい新人の候補者を現職のいる各選挙区へ出して、実際に県議選で当選させられるかというところはかなり厳しいのではないか」と予測する。
さらに、解散後に待ち受ける再度の不信任案の決議では、知事にとってより厳しい条件となっており、 失職は避けられない見通しだ。
「(不信任決議は)1回目の場合、3分の2以上出席の中で4分の3以上賛成で可決となるが、2回目は可決のハードルが下がり、3分の2以上出席の中で過半数が賛成(が要件)となるので、再度不信任決議が可決される可能性がより高まる。結局のところ、知事が辞める時期がちょっと遅くなるだけといえる」(岡野氏)
八方塞がりともいえる斎藤知事が置かれた状況について、ノンフィクションライターの石戸諭氏は、「斎藤知事はこれまで一貫して自分に責任がないとして辞職要求を突っぱねてきた。それらを踏まえると、議会解散のほうが筋が通る選択だ」と指摘。
また、議会の解散によって実施されることになる県議会議員選挙や知事選で発生するコストについては「県のトップを選ぶのは県民であり、『どうも言ったことと違うことをやっているぞ』『任期まで待てない』となった場合、トップを辞めさせるための手続きは法で定められている。いくら税金がかかるといっても、これは県政を改めるために必要なコストであり、民主主義のコストだ」と述べた。
石戸氏は、辞職・失職で知事が再出馬するなら、そもそもの問題が争点になると指摘する。
「当初、県議会の会派の一部やマスメディアに配られた内部告発文書を、公益通報としての可能性が高いものとして扱わずに怪文書のように扱ってしまった。あげく通報者探しまでやった。『うわさ話を集めたもの』と判断したという説明をしてきたが、その後何度も訂正するチャンスがあったのに最後までしていない。経緯の違法性を指摘する議論は百条委員会でもあった。通報に関わった職員が2人亡くなっている。こうした過去の経緯や発言が問われるべき」
最後に石戸氏は知事選を迎えた際の“斎藤知事の対抗馬”について「自民党にしても維新にしても、斎藤知事に辞職を求めた以上、当然対抗馬を出してくるだろう」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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