あれだけの実力差を周囲に悟らせない技術、ぶっ飛ばされてもなお余裕な素振りを見せる根性……ミスター・サタン（CV：石塚運昇）は強さはともかく、振る舞いはまさにプロフェッショナルだった。あの痩せ我慢に、格闘技世界チャンピオンという看板を背負う大変さを見た人も多かったはずだ。
【映像】トランクスの軽～い一発で吹っ飛ぶミスター・サタン（8分1秒ごろ〜）
アニメ「ドラゴンボール改」は、1989年から1996年まで放送されたアニメ「ドラゴンボールZ」のデジタルリマスター再編集版。サイヤ人編～人造人間・セル編までの第1期が2009年4月から2011年3月にかけて放送され、魔人ブウ編の第2期が2014年4月から2015年6月に放送された。原作は「週刊少年ジャンプ」（集英社）で1984年から1995年まで約11年間連載された鳥山明氏による大ヒット漫画で、シリーズ累計発行部数は全世界で2億6000万部を超える。「Z」「GT」「超」など数々のアニメシリーズが制作されたほか、20作を超える劇場版も公開。数多くのゲームシリーズにもなっている。40周年を迎えた2024年、故・鳥山明氏が原作・ストーリー・キャラクターデザインを手掛けた完全新作アニメシリーズ「ドラゴンボールDAIMA」が10月11日より放送される。
セルゲームから数年、久々に開催された天下一武道会は、かつて孫悟空がライバルとしのぎを削っていた緊張感のある大会ではなく、一種のお祭りのような雰囲気になっていた。年齢関係なく激闘を繰り広げていた頃とは異なり、少年の部と大人の部に分かれて大会は開催され、少年の部の優勝者は世界チャンピオンとのエキシビションマッチが行われる段取りになっていた。
少年の部の決勝では、悟天（CV：野沢雅子）とトランクス（CV：草尾毅）が観客の理解が追いつかないような凄まじい激突を展開。天下一武道会アナウンサー（CV：西脇保）も“天下一武道会はこうでなくては……!!!”と心から震えるようなバトルを披露した。その一方、恐怖で体が震えていたのはミスター・サタンだった。そう、このあとアトラクションで戦う優勝者のトランクスが明らかに自分より強いのがわかるからだ。
威勢よく武舞台に登場したものの“夢なら早くさめて～!!!”と願ったり、セルとの戦いで痛めたというヒザを突然抱え込んだり……。あの手この手でトランクスとの戦いを回避しようとしていたミスター・サタンだったが、結局アトラクションを行うことになってしまった。
最後の手段としてミスター・サタンが思いついたのは“子供相手にわざと負けた”ふりをすることだった。ミスター・サタンはトランクスに、試合が始まったら挨拶として相手の顔を拳でチョイとさわるのが決まりだとウソの説明をすると、「絶対におもいきり挨拶してはいけないぞ」と念を押したて試合を始める。
トランクスもこれを了承し、試合が始まると差し出された顔に軽くパンチを入れた。しかし次の瞬間、ふっ飛ばされたミスター・サタンは場外の外壁に激突していた。誰もが“死んだ”と思うほどの衝撃だったが、なんとか起き上がると「おじちゃんの負けだよ～」と“わざと負けた作戦”を見事に成功させた。
笑顔で観客の歓声に応えるミスター・サタンの姿に、強さを疑っていたトランクスも「やっぱ強いのかも……」と考え直したようだが、当の本人は控室に戻りひとりになった瞬間に「痛いよ～!!死んじゃう～!!」と悶絶。「軽くって言ったのに！アホンダラ！」ともんどり打っていた。観客の前では一切痛がる素振りを見せなかったミスター・サタンの我慢強さに、本物のプロ根性を感じた瞬間だった。
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