事件発生から58年、強盗殺人などの罪で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審公判で無罪が確定した。しかし検事総長は談話で控訴断念とともに静岡地裁判決への不満を表明した。
 袴田さんの再審で控訴断念を表明した畝本直美検事総長は談話で、無罪判決確定まで時間がかかったことを謝罪しつつも、地裁で認定された証拠の捏造に対しては強い不満を示している。
「本判決が『5点の衣類』を捜査機関の捏造と断じたことには強い不満を抱かざるを得ません。しかしながら、再審請求審における司法判断が区々になったことなどにより、袴田さんが結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、本判決につき検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りました」(畝本氏)