検察官とはどういう人物なのか。検事を経験した、いわゆる「ヤメ検」にそのリアルを聞いた。
「検事になったのは原始的な正義感。つまり悪いことを人間は許してはいけない」と語ったのは、1983年から検事を11年務めた、亀井正貴弁護士。検事をやめた理由を問われると「仕事の内容が見えてきた。検事の仕事は単純で、自白を取って裏付けを取るだけ」「要領覚えたら頑張るという感じにはならない」と明かした。
2017年から検事を4年務めたレイ法律事務所の西山晴基弁護士は「昔はそうだったのかもしれない、今はそんなことないと思う」と前置きすると「昔は『こういうところに飲みに行かない』とか。情報の関係で飲みに行くところは決まっていた」とコメント。
検事を志した動機については「弁護士、裁判官、検察官の中で一番真相解明というところに対してどん欲に自分が追求していける。被害者、加害者両方の話も聞ける、そこの中間にいる関係者の話も聞ける。ある意味全員の方から話を聞こうと思えば聞くことができて、真相解明に一番追求していけるところに魅力を感じて検察官を選んだ」と回答。
しかし4年間検事を務めたのち、弁護士へと転身。その理由については「どんなに刑事処罰を科したとしても、人の心は救えない現実も見た」と明かした。
一方、ワケあって検事をやめざるを得なくなった人もいる。1993年から検事を12年務め、作家としても活動する市川寛弁護士は「被疑者の取り調べで暴言を吐いたことがあって、不祥事によってなかば辞めさせられている」と告白した。
「人を許したい」という思いから検事を志したという市川氏だが、最初は思うように自白が取れなかったそうで「自白が取れないことをとがめられて。『市川君ね、生意気な被疑者は机の下からスネを蹴るんだよ。特別公務員暴行陵虐罪をやればいいんだよ』と言った」と明かして「どこまで本気かわからないが、そういう指示を受けたことでも、ものの3カ月で『何だここは』といった衝撃を受けたのは事実」と振り返った。
「紳士的な取り調べをして、絶対に大きな声を上げない人たちもいっぱいいた」と語ったが「荒っぽいことをやっている人間のほうが『元気があってよろしい』と評価をするような体質が、少なくとも私が検事になったころにはあった。自白の取れる検事は優秀な検事、という評価は間違いなくあった」と証言。
「暴力を振るわなければ怒鳴ってもいいし、罵倒してもいいし、脅してもいいし、もちろん泣き落としてもいいし。どんなことをやっても構わないんだ、という指示を受けた」と暴露すると「被疑者を取り調べ段階で、公判で否認する気力を失わせるほどに痛めつける。言葉によって。気力を失わせるほどに自白に追い込んでいないのが公判で否認を招いた原因、という意味の言葉を発したのも印象に残っている」と当時の実態について語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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