大川原化工機株式会社が製造する噴霧乾燥機が「生物兵器の製造に転用可能」として、代表取締役社長ら3人が逮捕されたものの、のちに冤罪が明らかになった「大川原化工機事件」。
10月9日、大川原化工機側が国と東京都に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、当時取り調べなどを担当した現職の警察官3人の証人尋問が行われた。3人のうち2人は「捜査自体は適正だった」「あざむいて調書を取ったことはない」などと捜査の違法性を否定した。
しかしうち1人の警官は捜査について「問題があった」と証言している。当初、公安部の解釈を否定していた経産省が突然、協力的な姿勢に変わった理由について「警部・警部補レベルではどうにもならないということで、空中戦を上司にお願いするしかないと言っていたのと、経産省から『部長から話来てる』ということを聞いた」「我々が下とするなら、上の方でやり取りしてもらうしかないと。圧力かけるしか…。法令を無視しているような話で恥ずかしい。日本の安全保障を考える上でも立件する必要は全くなかった」とした。さらに捜査が強行された理由は「決定権を持つ人の欲だと思う」とも証言した。
実はこの冤罪事件の最中、事件そのもののでっちあげを示唆する、捜査機関の内部通報が会社に寄せられていた。
人権派裁判長として知られた、ひいらぎ法律事務所・木谷明弁護士は「内部から告発してくれる人がいたということは本当に救い」としながらも「今度の(告発した)人たちが果たしてどういう処遇を受けるのか、私は非常に危惧している」と指摘。
「組織の中で果たして居場所があるのかどうか。組織というのはそういう人をどんどん排除する。その辺は弁護団がしっかりフォローしなきゃいけない。マスコミもそう」と、弁護団やマスコミによるフォローが必要だと訴えた。
大川原化工機事件を担当した高田剛弁護士も「私も非常に危惧していまして」と木谷氏に同意して「この裁判で警視庁の言い分を見ていると、去年『ねつ造だ』と上司を告発するような証言をした警部補がいるが、その人のことを『変わり者』『ほかの警部補と仲が悪かったんじゃないか』『その人がおかしい』という論調が、国賠訴訟の主張でも表れている」と解説して「恐らく警視庁は『告発した人がおかしい』というほう誘導したいのではないか」と推測した。
それを「よくない話」と断じた高田氏は「今回トータルで3人の警部補が『違法があった』と言っているので、これはもう1人の性格の悪い人がそう言ったとか、喧嘩したからそう言ったというレベルではない。裁判所にはっきりとねつ造の事実を認定してもらって、彼らが個人的な理由で証言したわけではないということを、しっかり自信が持てるような判決を出してもらいたい」と訴えた。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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