【W杯2026アジア最終予選】日本代表 1-1 オーストラリア代表(10月15日/埼玉スタジアム2002)
いずれもオウンゴールによる1-1のドロー決着となったオーストラリア戦は、今予選で日本代表が最も苦しんだ試合だった。過去3試合(中国代表に7-0、バーレーン代表に5-0、サウジアラビア代表に2-0)と比較するとアタッキングサードに侵入する機会自体が少なく、枠内シュートはわずか2本に終わった。
その最大の要因は、森保ジャパンがオーストラリアの守備時5-4-1の分厚いブロックを崩せなかったから。日本はボールポゼッションで圧倒したが(支配率は62%)、前5人(CF、2シャドー、両ウイングバック)はマンマークに近い状態で張り付かれ、素早いカバーリングにも苦しんだ。
そのため右サイドの2人(シャドーが久保建英、ウイングバックが堂安律)は、頻繁にポジションチェンジをして相手守備陣に揺さぶりをかけていた。東京五輪チームから定評のあった2人のコンビネーションで、最も可能性を感じさせたのが、36分のワンシーンだ。
DF谷口彰悟からの斜めのパスに対して、堂安がハーフウェーライン付近の右サイドに開く。それに呼応して、久保も中から外に開いて縦のパスコースを作り出した。
秀逸だったのがその先だ。堂安が左足ダイレクトでボールを捌くと、久保も同じく左足ダイレクトでボールをヒョイと浮かせて向かってきたDFを翻弄して突破。久保はさらにインナーラップした堂安に斜めのパスを出して、そのまま背番号10が相手ペナルティーエリアに侵入した。
最終的に堂安は、ボックス侵入後のプレー選択がやや遅れ、追いかけてきたDFキャメロン・バージェスのプレッシャーでボールロストしている。しかし、堂安と久保の技術と創造性、そしてコンビネーションが光った素晴らしい局面打開であり、たった2人でオーストラリア守備陣を完全に翻弄。スタジアムが大歓声に包まれたのも納得だ。
堂安と久保は、例えば三笘薫や伊東純也のようにドリブル突破で敵陣をぶち抜く加速力を備えていないものの、逆にこうした技術と連携によるアタッキングサード攻略は日本代表の中でも屈指。似たような場面をより多く作り出せていれば、オーストラリア戦もさらに多くの決定機を創出できていたはずだ。
続く11月シリーズ(15日にインドネシア戦、19日に中国戦)では、天才レフティーコンビによる多くの敵陣攻略に期待したい。