「声を大にして言う。新人に何かを教える時に『一回教えたよね?』を言うやつはクソ、仕事できないのはお前、頭悪いのもお前。(中略)これ言うやつは人に教えることに全く向いてないし 新人潰し」(Xより)
先日、バズったXの投稿。これをきっかけに、ネットでは「わざわざ言わなくていいし圧かけちゃダメ」「教えられたらもっと覚える努力をしてほしい」などの声があがった。「一回教えたよね?」はダメなのか。ハラスメントに厳しい今、部下や後輩にどう教えるべきなのか、『ABEMA Prime』で考えた。
■「1回教えたよね」はダメ?
Xの投稿をした、会社員の彩乃さん。自身の投稿に「批判されることを書いてる自覚はあったが、案の定厳しい声をたくさんいただいた。けど、共感しました、救われましたっていう声もたくさんいただいた。反省しているが、勇気を出してモヤモヤした感情を言葉にして良かった」と振り返る。
そもそも彩乃さんは、教育係の入社3年目社員(20代)が、中途入社の社員(40代)に対して「一回教えたよね?」と発言しているのを見て投稿した。入社3年目社員は「言い方考えればいいのに…」と社内で思われている人物だという。「中途入社の方はキャリアがあって、この職場は新人かもしれないが、 年上だし。もうちょっと言い方があるんじゃないかと思った」。
一方で、「前にも言ったけど」を意図的に使っている、ITエンジニアのとっぷらさん。「経験上だが、言葉で教えてもらっても身につかない。例えば、1回ミスをして、先輩に『前に言ったじゃん』と言われると、その時に初めて、経験と言葉がリンクする。逆に先輩に対して、申し訳なくなる気持ちになって、2回目以降のミスが起きづらくなる」と説明する。
作家でジャーナリストの佐々木俊尚氏は「日本の仕事はOJT(オンザジョブトレーニング)なので、現場に行ってみないとわからない。事前に教えられても、現場に出たら、あたふたしてしまう。そこで『前にも言ったけど』と言われても、分からない。やっぱり現場で学ぶところは要素として大きい。必ずしも全て当てはまるわけではないので、時と場合によって違う」との見方を示した。
龍谷大学の水口政人教授によると、「前にも言ったよね?」は心理学的にNG。嫌な思いをした部下が質問をしに来なくなる可能性が高くなり、無理に一人でやってミスする。仕事の効率悪化など組織にとって、いい結果は生まれなくなり、「何回でも喜んで答える」のが正解だという。
■令和の部下育成
令和の部下育成として注意すべき言い換えポイントとして、「ダメだったね」→「頑張ったのに残念だったね」、「だから言ったでしょ」→「次は気を付けて」、「普通出来る」→「他の人はこうしている」、「さっきも言った」→「わかりにくかったかな」などが挙げられる。
彩乃さんは、教える際に「エビングハウスの忘却曲線を勉強してて、人は1日経ったら記憶力の70%忘れると聞いたので、忘れる前提で教えている」と意識している。また、「Xのポストは言葉が悪すぎたが、指導者も優しく教えようよって意味が込められてる」と真意を話した。
佐々木氏は「航空業界などに『ヒヤリハット』というのがあって、ミスが起きて大事故になる前に、全て報告する。でも、絶対に叱らないルール。ヒヤッとしたこと、ハッとしたことを全員で共有して、そこから改善していく。本人に絶対責任を負わせない。ヒヤリハットは、すごい重要で、IT業界では使ってると思うが、いろんな業界に広がるといいのではないか」と提案した。
(『ABEMA Prime』より)
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