自らの頭を拳で「ガンガン」と叩きながら“激痛”に悶え苦しむ男性。「群発頭痛」という病気と20年以上も闘っているパパおじさんだ。
群発頭痛とは、心筋梗塞、尿路結石と並ぶ、世界三大激痛の1つと言われている病気で、大の大人でも泣き叫ぶほどの痛みが襲うという。
「片側の目の奥に感じたことのないような激痛が走る。しゃべることも、立ち歩くこともできず、まぶたが腫れて涙・鼻水が止まらない。人によっては痛みでおう吐する。群発頭痛にかかった女性は『陣痛より全然痛い』と声をそろえて言う。1日に6〜8回、2~3時間おきにずっと痛みが来る。1回来たら30分~1時間、ただ痛みに耐えるしかない」(パパおじさん)
パパおじさんが群発頭痛を発症したのは高校3年生のとき。痛みは何の前触れもなく突然やってきた。
「最初は脳の血管が切れたんじゃないかと思った。今まで味わったことのない痛み」(パパおじさん)
MRIなどの検査でも異常なし。病院を何軒も変えたものの原因は分からず、最後に訪れた病院でようやく「群発頭痛」と診断された。
パパおじさんは片目の奥にある三叉神経の周りに炎症が起きて激痛が走る病気だと診断されたという。
群発頭痛について東京女子医科大学 脳神経外科 清水俊彦医師は「片目の奥をえぐられるような痛みが夜寝て1~2時間後に急に出てくる。“火箸で目の奥をえぐられる”という表現もされる。そういった頭痛が毎晩襲ってきて、期間は1カ月から長くて2カ月間。主に季節の変わり目に集中的に起こる」と説明。
免疫力の落ちやすい季節の変わり目に発症する人が多いという。
「帯状疱疹という水ぼうそうのウイルスが(免疫力低下で)暴れてくると、目の奥にある海綿静脈洞という静脈のネットワークが膨れて起こりやすいということがわかってきた」(清水医師)
帯状疱疹ワクチンを打つことで症状が軽くなる人もいるというが、パパおじさんには一切効かず、酸素吸入が唯一の治療法だった。
「酸素を吸うと少し痛みが軽減されるが、当時は保険が効かなかったので、病院代と酸素代で30万円から40万円かかった」(パパおじさん、以下同)
耐え難い痛みと金銭的な負担。そして周囲の無理解が患者の精神を追い詰める。
「頭痛って名前が付いている時点で、『ちょっとひどい頭痛だろう』と軽視され『俺だって頭痛あるよ』などと言われる。職場でも『休みやがって』と態度で伝わってくる。家族にも理解されず、『気味が悪い』『うるさい』『この期間だけでもどこか行ってほしい』と言われる人もいる」
肉体的な辛さに耐えきれず、「頭を切り落としてくれ」と言う患者も。
「爆弾みたいなものを抱えているイメージ。いつ爆発するか分からないので、何もできない」
一方でこの病気は年々発症期間が延びたり、痛みが治まるという説もある。パパおじさんも31歳で発症してから8年間、群発頭痛が起こらなかったが、今年の夏に再び発症した。
「絶望した。仕事を休まないといけない、お金がかかる、迷惑をかけると考えるとただただショックだった」
群発頭痛は肉体的な痛みだけでなく、精神面でも患者を苦しめる。
「罪悪感がすごい。戻った時に自分の居場所があるかどうか、2カ月仕事を空けるのは通常では考えられないので、申し訳ない気持ちと罪悪感がひどくて仕事を辞めたこともある」
群発頭痛が原因で転職を繰り返し、現在の職場は4社目だ。
もっと患者が生きやすい世の中にしたいとパパおじさんはSNSで群発頭痛について発信している。
「群発頭痛は指定難病にされていない。世界三大激痛と言われていて、1回なってしまうと働くのもままならないのに、公的な補助が何もない。指定難病になることで周りの理解が変わると思う」
指定難病に認定されるよう、署名活動も始めた。
「どうしたら指定難病にできるのか。SNSでの発信と署名活動で、何かが変わると信じて続けている」
(『ABEMAヒルズ』より)
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