北朝鮮の「韓国・絶交宣言」に専門家が苦言「金正恩総書記の祖父も父も草葉の陰で怒っている」
【映像】金正恩氏を批判するビラ(実際の様子)

 10月15日に北朝鮮は韓国につながる道路と鉄道の一部を爆破。防壁を設置し、要塞化を進めているという。

【映像】金正恩氏を批判するビラ(実際の様子)

 コリア・レポート辺真一編集長はこの爆破について「金(正恩)総書記は南からねずみ一匹も入れさせない強硬姿勢」「金総書記はDMZを非武装地帯ではなく国境にして壁を作り、完全にシャットアウトしたい考え」と解説する。

 一体なぜそんな事態になったのか。爆破と言えば、2020年6月に北朝鮮は朝鮮人民軍がDMZ(非武装地帯)に侵入する準備ができていると警告した直後、DMZ沿い、開城にある南北共同連絡事務所を爆破。韓国側に渡った脱北者らによる、風船を使った金体制を批判する宣伝ビラ散布に対する報復と見られている。

 風船には韓国ドラマやK-POPなど、韓国文化が詰まったUSBメモリーなどもあり、辺編集長によれば北朝鮮にとってこのビラ散布は最も恐れているそうで「金総書記は北朝鮮では最高尊厳者。批判すれば処刑。しかしビラによって隠されていることが晒されることを恐れているので『絶対にやめて』というのが本音」と説明。

 辺氏によれば北朝鮮へ飛ばす風船は平壌まで届かず、DMZ沿いの開城付近ぐらいで落下。「開城はDMZ沿いにあるので、思想的にしっかりした人を住まわせている」と辺氏は語りつつも「ただ、そういう人はエリートなのでUSBも見ることができ、政権中枢にも近いのでやっかいな一面もある」と指摘した。

 風船をめぐっては北朝鮮から汚物風船が飛来するなど応酬が続いている。今月、韓国の無人機が平壌上空に飛来。韓国側が金正恩体制を批判するビラをまいたと北朝鮮側が主張した。

 北朝鮮・朝鮮労働党副部長の金与正氏は「再び領空侵犯すれば報復攻撃を開始し、惨事が起きる」、これに対し韓国・金龍顕国防長官も「北朝鮮の政権が終末を迎えると警告する」と発言。

 さらに、今週ソウルの大統領府でおこなわれた韓国とポーランドの首脳会談の直前にゴミ風船が飛来。今回初めて宣伝ビラが飛んできたそうで、尹大統領に関しては「核保有国に対し政権終末などの寝言を言っている」、尹大統領の金建希夫人については「現代版マリーアントワネット」などと書かれていたという。

 北朝鮮からは騒音攻撃も。韓国メディアによると、この騒音は最大87デシベルにものぼり、救急車のサイレンの音にも匹敵するとしている。

 10月17日の朝鮮中央通信によれば、北朝鮮は韓国を「敵対国家」に指定。韓国との統一政策を放棄するという金総書記の方針に基づき、憲法改正をおこなったことを確認したと報じた。これまで金総書記の祖父で建国の父、金日成主席から父親の金正日総書記までつらぬかれてきた南北統一。しかし現在の金正恩総書記になり、その統一は完全に放棄された。

 辺氏は「完全に韓国とは絶交宣言。永遠に別れを告げた。もはや同族・同胞とはみなさない。対話もしなければ統一もしない。好き勝手にやろうと。38度線、南北連結鉄道を取っ払って、さらには道路を爆破して、ここに恐らく障壁を作るのではないか。ベルリンの壁のようなもの。完全に人を通させないということが始まっている」と解説。

 さらに、金日成主席、金正日総書記と真逆の方針を取ったことに対して「建国以来、南北統一は国家の目標で、民族の悲願。その統一という看板を下ろしてしまった。初代も2代目も、祖父も父も草葉の陰で泣いているどころじゃない、怒っていると思う。やってはならないこと」と非難した。

 2022年に誕生した尹錫悦政権については「いままでの文(在寅)政権の北政策は甘い、あまりにも屈辱的で従属的だと。北朝鮮を内部から崩して、東ドイツのように最終的には西ドイツが吸収するような、そういう自由主義統一を探り始めた」と説明。

 今後について「金(正恩)政権は『尹政権は歴代保守政権のなかで最も邪悪な対北朝鮮政策をとっている』と宣言している。2027年5月まで尹政権の任期があるため、それまではいまのような状況は続く」と予想した。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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