Vtuberのこだわりによる「修正依頼」はどこまで許されるのか。「下請けいじめ」ともとれる、その実情を取材した。
Vtuberのマネジメントなどを手掛ける会社の運営スタッフAさんは「めちゃくちゃ注文が多い。納得するまでやるという自己満足の世界なので、ちょっとワガママなところがある」と証言。運営を始めてまだ間もないが、所属するVtuberたちへの編集への注文や直し要求の細かさに驚いているという。
Aさんは「本当に細かくて、鼻の高さを1ミリ高くしてほしいとか、前髪が束になって見えるから一本一本繊細に髪の毛が流れるようにしてほしいといった依頼があった」「クリエイターが途中でいなくなったり、というのがよくある」「ビフォーとアフターを見ても全然差がわからないが、本人はその1ミリにこだわる」などと明かした。
この問題を背景に、公正取引委員会は「下請代金支払遅延等防止法の規定に違反する行為が認められたので、本日、カバーに対し勧告を行った」と発表した。
Vtuber大手事務所が動画で使用するイラストやモデルの「やり直し」をその作業を担当する下請け業者に無償でやらせていたことが発覚。その回数はおよそ1年9ヵ月で243回。事前に交わした発注書からはその直し作業が必要かどうかはわからないものだった。さらに下請け事業者に対する代金支払いの遅延も判明。業者によっては期日から最大619日遅れで代金が支払われていたという。
Aさんは、無償で多数の修正を依頼するのは確かに問題であるとしたうえで、事務所側の事情を「納品してから(ギャラを)払うことが多いので、それまで何回も修正するケースがあって、壮大な時間がかかってしまう」と推察して「最初に提示していたギャラを考えると、すごく割に合わない」と胸中を吐露。
現役のVtuberはどう思っているのか。今年6月にデビューしたVtuber・甘愛乃しふぉんさんは「私の場合はなりたかった理想の自分の姿みたいな。現実でこんな髪色とかもできないじゃないですか。自分の趣味嗜好を詰め込んだ姿に、多分みなさんなっている」とコメント。
「どうしてもダメなところは修正1回まではOKの契約だったので、上半身のバストのサイズ感や揺れ方、あとは髪の毛の色。思ったよりも暗かったので明るくしてほしいとお願いしたぐらい」「(クオリティに)こだわった。理想を追い求めているので」とルールの中で修正依頼をしていると明かした。
動画スタッフの本音を取材すると「音程外れている歌声を編集でなんとかしてくれと言われた。なんでも編集でできると思っている」「直しの電話だけで4時間は本当にやめてほしい」「ニキビを消してキレイな肌に修正した」「仕事が終わるまでギャラが分からない。終わってみたら相場の半分だったってことも」「好みの問題で直せと言われる。だったら最初から言ってほしい」といった声が寄せられた。
甘愛乃しふぉんさんは「完ぺきな姿になりたいとみんな思っている。Vtuberさんなら特に。もし無限にリテイク(修正)いいよって言われたらもちろん、動かしてから気になるところとか出てきたりはすると思うので、言えるのであれば言っていくのではないか」と推察した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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