衆院選では与党が過半数を割り込み、対照的に立憲民主党や国民民主党、れいわ新選組、参政党が議席を伸ばした。
【映像】国民民主・玉木代表の“SNS無双”が一瞬で分かるグラフ
この結果に「SNS×政治」の影響はどの程度あったのか? そして人を投票へと動かすSNS戦略とはどのようなものなのか? ネットコミュニケーション研究所所長の中村佳美氏と考えた。
ネットコミュニケーション研究所が調べた候補者たちのアカウント所有率を見ると、XやYouTubeは“頭打ち”で変動がないものの、InstagramやLINE、TikTokの割合が大きく伸びている。
この点について中村氏は「LINEなど、顔が見えるようなプラットフォームの成長が大きい。今回、小選挙区という“顔が見える選挙戦”を戦ったためより顕著になったのでは」と分析。
また、LINEやFacebook では別の候補者が支持を集めていた。
次に、比例の投票先を世代別に見るとANNの出口調査において、20代では自民党を抑えて国民民主党が高い。この点について中村氏は「少数派政党はネットとの親和性が高く、ネットを利用する現役世代、20代から40代の向けのアプローチもうまかった」と指摘した。
さらに地域差については「ネット上での盛り上がりは特に都市部を中心に実際の選挙結果にも影響を与えたのではないか。XやYouTubeのフォロワーの増加数を見ても国民民主党、参政党、れいわ新選組の支持拡大に寄与した可能性がある。一方で地方ではSNSの影響が比較的限定的だったというデータもあり、依然として従来のテレビ・新聞の影響力が強かったところもある」と分析した。
実際に選挙期間中のフォロワー数の増加、そしてYouTubeの視聴数を見ていこう。
ネットコミュニケーション研究所によると、いずれも国民民主党の玉木代表の“一人勝ち”とも言える結果になった。
この点について中村氏は「玉木代表は日頃からYouTubeなどで地道に発信活動をしており、そうした日々の取り組みが支持拡大に繋がったという見方もある。さらに驚いたのは期間中に玉木代表以外にも国民民主の別の候補者もXのフォロワーを多く増やしていることだ。陣営として、戦略として位置づけて活用していたのではないか。玉木代表のインタビュー記事を見ると、東京都知事選で善戦した石丸伸二氏の影響を受けたというようなコメントもあった。少しそういったところからインスピレーション受けたのではないか」と分析した。
さらに中村氏によると、若年層と無党派層に対する支持拡大のためにはSNSの中でもショート動画やTikTokの利用が欠かせないという。
「若い世代はスマートフォンで視聴することが多いので、短時間で視覚的なインパクトを与えて、端的にメッセージを効果的に届けることが重要。最近は難解な政策の説明や討論会や街頭演説の切り抜きよりも候補者のカジュアルな一面など人柄と親しみやすさが伝わるようなものが視聴数を伸ばす傾向にある。いきなり政策を伝えるのではなく、『まずは知ってもらう』必要があるのだ」
そしてこれからの「SNS×選挙」についても以下のように分析した。
「これまでは一方的な動画発信だったが、今後は生配信、さらには有権者との直接対話を重視した双方向のコミュニケーションの戦略がさらに重要となってくる。そして今回躍進した国民民主党、参政党、れいわ新選組の中にもいたが、YouTubeなどを通して“顔の見える政治家”を体現し、支持者との信頼関係をつないでいくことが今後重要になってくる」
(『ABEMAヒルズ』より)
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