仕事の内容を明らかにせず、著しく高額な報酬の支払いを示唆するなどして犯罪の実行者を募集する「闇バイト」の事件が続いている。30日未明には、東京・三鷹市の住宅に複数人が押し入り、男性の首を締めるなどした強盗未遂事件が発生。後に大学生の男が出頭、住居侵入と強盗未遂の容疑で逮捕された。犯行に関わった経緯は、闇バイトへの応募で、Xで「ホワイト案件」と検索し、犯行に参加したという。
ネット上には「金欲しさに飛びつくんだから闇バイトやる奴は自業自得」という声もある中、犯罪に関わってしまう若者が出続けることを“自己責任”で片付けていいのか。『ABEMA Prime』でMCを務めるEXIT・兼近大樹は「自己責任にしてしまうから生まれる。放っておかれた人の末路だ」と述べた。
■「自己責任と放っておいた人が被害を受ける。全部つながっている」
三鷹での事件で出頭してきた大学生の男は、複数人で雨戸・窓を壊して住宅に侵入。住民に抵抗され、何も奪わず逃走した。その後、交番に出頭・逮捕されたが、指示役からは「逃げたら殺す」と脅されていたという。警察庁も闇バイトへの対策は進めており18日、YouTubeとXで、闇バイトの加担に関し注意を促す動画を投稿。「勇気も持って抜け出し、すぐ警察に相談を」「警察は相談者や家族を確実に保護します」と呼びかけたところ、3人から相談を受けて保護したという。
自ら金欲しさに「闇バイト」を求め、釣られた結果、犯罪に加わってしまう。一連の流れに対して、自己責任ではないかという声は確実にある。ただ兼近は「『自己責任でいい』というスタンスだから、ずっとこういうことが起きている」と切り出すと、「学校でも小学校1年生、2年生で逸脱した行為をした人は、先生から『ダメですよ』となるべく注意されて、矯正されて、教育を受けてある程度大人になっていく。それが足りなかった人たちが中学校に入っても、それをやっていましたとなると『自己責任でいい』と放っておかれる。それから高校に行きました、むしろ高校に行けませんでした、となると放っておかれた人は同じような仲間を集める。これが繋がって大人になってもこうなっている」と、放置した結果が招いている負の連鎖だとした。
さらには「そこを強制しないまま走らせているから、真面目そうな若者でも、わからないまま手を出している。『自己責任だよ』で放っておくと、この若者は誰かみんなが放っとかれて、また同じ道を走る。放っておいた人が被害を受けて『なんでこんなことするんだ』と言い出すので、全部つながっている。だから一人一人が自己責任ではなくて、放っておかれた人の末路だ。ちゃんと自分事にしていかないと、被害を受けるのは自分たち。それをなくすためにやっぱり若者たちと密接に関わっていかなきゃいけない」と語った。
■「引っ張り込んでいるのは大人。子どもたちの事件ではない」
闇バイトに関わる若者たちも、そのパターンはそれぞれ違う。危険性について「わかっているけどしかたなくやる人」「わからなくてやっている人」「わかっていてやりたくてやっている人」と、3パターンいると兼近は分けて説明した。また、闇バイトに誘う側の者については「悪いやつらは仲間に引き入れるという手も使う。『ここがお前の場所だぜ』と言いつつ、さらに『殺すぞ』と追い込みもかける。(グループに)いたら得もできるし、楽しくもあるが、そこから出たら誰も相手してくれないとなれば(グループに)いるかもしれない。逃げたら怖いが、いれば友だちがいるからだ」と、孤立した若者が巻き込まれ、かつ抜け出せなくなる状況を説明した。
さらに実際の犯行はせず、指示役に回る大人の罪深さについても指摘した。「結局こういうのは大人が動かしている。助けてくれるのも大人だが、引っ張り込んでいるのも大人。子どもたちの事件みたいにしているが、大半はやっぱりいいように使いたい大人が多い。これは本当に大人の事件で、闇バイトを子どもの問題としたらいけない。闇バイトを動かしている人たちも、もともとはどこからも求められてない子どもだった。こういう世界だから輝けると走ってきた人たち。その手前の子どもたちを守らないといけない」。孤立した子どもが闇の世界で大人になり、さらに闇へと子どもを誘い入れる悪循環を止めるため、今の子どもたちを守ることの重要性を説いていた。
(『ABEMA Prime』より)
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