子供ができてからの恐ろしいチチとはまったく違う、悟空ラブな新婚のチチを見て、思うところがある人も多いだろう。第23回天下一武道会の準決勝で見事に勝利を収めた孫悟空(CV:野沢雅子)に対し、結婚したばかりの妻・チチ(CV:荘真由美)が見せたリアクションは今では想像できないほど初々しいものだった。
悟空の妻のチチといえば、悟飯が4歳の頃にはすでに塾に通わせ、「地球の未来より悟飯の勉強のほうが大事」だと断言するほどの熱心な教育ママだ。サイヤ人襲来編でのチチは、ベジータとの激闘で瀕死の重傷を負った夫・悟空を気にも留めず、悟空を飛び越えて悟飯のもとへと駆けつけていた。
とにかく悟飯の勉強が第一で、悟飯に反論されただけでショックのあまり「ご……悟飯ちゃんが……ふ……不良になっちまった……」と落ち込むことさえあった。
人造人間編では、悟飯の力も必要になるからと修業の許可を求めた悟空に対し、チチは断固拒否の構えを見せたうえ「結婚してから一銭だって稼いだことあったか!?」と悟空を問い詰める。たしかに悟空は戦ってばかりで、結婚してから働いていた様子はない。さすがの悟空も「そ……それ言われっと辛えが……」と言葉を詰まらせていた。
悟空に対して怒ってばかりいる印象が強いチチだが、新婚初日となった天下一武道会では、悟空への愛情で溢れていた。天津飯(CV:鈴置洋孝)と悟空の試合中、チチは不安そうな表情で祈るように見守り、悟空が攻撃を受けるたびに「悟空さ!」と悲鳴のように名前を呼んでいた。
そして、悟空が天津飯のとっておきの技「四身の拳」の弱点を見破り勝利すると、チチは背景いっぱいにハートを散らし、「すげえぞ!悟空!さすが、オラの夫だべ!」と好き好きオーラいっぱいでエールを送っていた。これには悟空もまんざらではない様子で、笑顔でチチの声に応えていた。
あんなにラブラブだったのに、一体何がチチをあそこまで強烈な教育ママに変えてしまったのだろうか。やはりドラゴンボールの世界が一時的にでも平和なったからこその変化だったのかもしれない。
1986年から1989年に放送されたTVアニメ「ドラゴンボール」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1984年から1995年まで約11年間連載され、シリーズ累計発行部数が全世界で2億6000万部を超える鳥山明の同名漫画が原作。以降も「Z」「GT」「改」「超」など数々のアニメシリーズが制作され、20作を超える劇場版も公開されたほか、数多くのゲームシリーズにもなっている。
40周年を迎えた2024年、故・鳥山明氏が原作・ストーリー・キャラクターデザインを手掛けた完全新作アニメシリーズ「ドラゴンボールDAIMA」が10月より放送中。
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