当時の視聴者に教えてあげたい……“それ、キュン死って言うんだよ”と。アニメ「ドラゴンボール」最終回は、原作では描かれることがなかった悟空とチチの結婚式の様子がオリジナルストーリーとして描かれていた。「オラ、絶対幸せになるだ!」と誓ったチチはとても可愛らしかった。
第23回天下一武道会で、孫悟空(CV:野沢雅子)は3度目の挑戦で初優勝を果たした。神様から後継者になるよう打診されたが、「オラ絶対やだからね!」と断ると、筋斗雲を呼び出し、チチ(CV:荘真由美)と共に逃げるように武道会場を後にした。
原作ではその直後から5年後の物語がスタートしたが、アニメ版では5話に渡って悟空とチチが結婚式を挙げるまでのオリジナルストーリーが展開された。里帰りした牛魔王の城で結婚式の準備を進めていると、突如城が炎に包まれてしまう。チチの母の形見だというウェディングドレスを炎から守った牛魔王は逃げ遅れ、炎の中に閉じ込められてしまった。
悟空とチチの夫婦初となる共同作業はケーキ入刀ではなく、炎の消火となった。芭蕉扇を見つけ出し、五行山にある八卦炉の釜の底を修復して、牛魔王の城を包み込んでいた炎を見事消すことに成功した2人。数々の試練を2人で乗り越えていく様子は、まさに悟空にピッタリなハネムーンとなった。
青空の下で行われた悟空とチチの結婚式。牛魔王が必死に守ったウェディングドレスを着たチチの姿はまるで天使のようだった。チチは目に涙を浮かべながら「オラ、一生忘れねえだ」と牛魔王に感謝を伝えていたが、そんなチチのウェディングドレス姿を一生忘れないと誓った当時の視聴者も多かったはずだ。
さらに、このときばかりは悟空も山吹色の道着ではなく、純白のタキシード姿を初披露したが、意外にもよく似合っていた。「悟空さ!」と悟空の腕に抱き着くチチと、一瞬驚きながらも照れ笑いを浮かべた悟空の様子は、キュン死必至のワンシーンだ。
1986年から1989年に放送されたTVアニメ「ドラゴンボール」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1984年から1995年まで約11年間連載され、シリーズ累計発行部数が全世界で2億6000万部を超える鳥山明の同名漫画が原作。以降も「Z」「GT」「改」「超」など数々のアニメシリーズが制作され、20作を超える劇場版も公開されたほか、数多くのゲームシリーズにもなっている。
40周年を迎えた2024年、故・鳥山明氏が原作・ストーリー・キャラクターデザインを手掛けた完全新作アニメシリーズ「ドラゴンボールDAIMA」が10月より放送中。
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