問題になっているのは日本だけではない。イギリスの通信業者「O2」が詐欺の実態を調査したところ、1週間のうち5人に1人が詐欺の対象になっているという結果が出た。
そこで、詐欺対策として打ち出したのが、AIおばあちゃんの「デイジー」だ。デイジーは詐欺師からの電話に応対するAIなのだ。
イメージとしては
「私のネコちゃん、『ふわふわちゃん』っていうの。ちょっとおしゃべりしたい気分なのよ」(デイジー)
「もう1時間も経つよ…いい加減にしてくれ!」(詐欺師)
「時間が経つのは早いものねぇ」(デイジー)
というような会話が展開される。
デイジーは個人情報を聞き出したい詐欺師に対し、のらりくらりとかわし、ウェブサイトに誘導したい相手に対してはITに不慣れな高齢者を演じる。
「wのあとに点?」(デイジー)
「wを3回、そしてドット!」(詐欺師)
デイジーはリアルタイムで応対し、世間話などで時間を稼ぎ、詐欺師が根負けして退散する仕様になっている。
O2は、詐欺対策に取り組む登録者400万人を超えるYouTuberのジム・ブラウニング氏と協力し、デイジーを制作。高齢者という設定のため、AIの反応が遅くても不自然さがなく、詐欺師との通話を40分間続けることに成功しているという。
詐欺師に騙されない方法とは?
自身の名前を騙った詐欺師も多く存在するという経済アナリストの森永康平氏は「詐欺師側のAI活用の進歩」について警鐘を鳴らす。
「1年半ほど前であれば、LINEなどでやり取りの際に『あなたは本物の森永康平さんですか?』と聞くだけで撃退できた。だが、半年ほど前からは『本物ですよ』と返ってきて“誰が見ても気づかないレベルの精巧な免許証”まで送られてくるようになった。さらに最近は『疑うならビデオ通話しますか?』と話すこともできる。ネット上に流れている僕の動画を学習させているのだ」
さらに、最近では森永康平氏の父親である森永卓郎氏を装い、8億円を超える金額を騙し取った事件も起こり、中国籍の男が逮捕されている。
事件について森永康平氏は「8億円もの資産をさらに増やそうという“欲望の強さ”に詐欺師はつけ込んでくる。増やしたくなる気持ちはわからなくもないが『そんな美味しい話はない』ということは改めて理解してほしい。詐欺師たちは『この株を買うためにはこの口座にお金を入れてください』などと言うがその時点でおかしい。株や投資信託を買うときは自分の口座から直接お金を出す。これさえ徹底しておけば引っかかることはないだろう」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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