前日計量での険悪ムードを経て、無慈悲な鉄槌連打で衝撃TKO。しかし戦いに集中しすぎたか…レフェリーの制止に「Why? 何で止めるんだよ!」とレフェリーに食ってかかるまさかの展開に「なんで怒ってるんだ?」などファンが困惑するひと幕があった。
11月30日に後楽園ホールで開催されたプロフェッショナル修斗公式戦「PROFESSIONAL SHOOTO 2024 Vol.8」で、シモン・スズキ(和術慧舟會HEARTS)と中池武寛(パラエストラ小岩)が対戦。試合は1ラウンド終了間際、怒涛のパウンドでシモンがTKO勝利を収めた。前日計量でのどつきあいからの険悪ムード、中池の「ボコボコにイジメてやる」という意地の悪い言動に対して見事な返り討ちを果たした。
2024年新人王決定トーナメントの準決勝。プロデビューから1戦1分けと2戦勝ちなしのシモンは、バンタムからフライ級へ下げてのエントリー。対するは、デビューから全て一本またはKOで怒涛の4連勝と勢いに乗る現役高校生の中池。5月には早々と日中対抗戦に抜擢されるなど、2023年同日デビューで、アマチュア優勝者同士だが、ここまでのプロ戦績は対象的な両者の一戦だ。
前日計量では両者バチバチの応酬。中池の到着が遅れるとシモンが「計量に遅れてくるやつは弱い奴、舐めてるんで」と先制の煽りマイク。遅れて計量をクリアした中池がフェイスオフでシモンをどつく場面も見られ「遅れちゃってすいません」と一礼するも「(シモンが)さっき煽ってきたんで、試合では死ぬほどボコボコにしてイジメてあげようかなと思います」と不穏な空気で迎えた試合。
開始からシモンが左のパンチをアゴに当てると、その後も打撃を的確に入れる。中池も下がりながら独特のステップで距離を取るが、右フックを被弾してグラつくなど、序盤からペースをシモンに握られる。
ケージ際での組みでもシモンに押されていた中池はバックをうかがって密着。しかしケージを背にポジジョンを変えられると、離れ際で再びシモンの打撃がアゴを捉える。
残り1分、シモンは“ケージを掴んだ”とレフェリーに警告を受けるが、再開後は臆することなく打撃で勝負。マウントポジションを奪取すると、上からの鉄槌と肘の連打で殴り続ける。40秒間ほぼノンストップで嵐のようなパウンドを浴びせると、ここでレフェリーが割って入り試合を止めた。
傍から見るとシモンの快勝だが、ここで珍場面。あまりに打撃に集中し過ぎたか、試合を止めたレフェリーにシモンは困惑気味に「Why? 何で止めるんだ!」といった様子で何故か詰め寄る様子も。圧勝直後の“謎行動”にファンも「なんで怒ってるの?」「勝ってから文句言ってたな」とざわついた。
ABEMAの解説の宇野薫も「昨日の因縁がまだあったのかなぁ…(笑)」と苦笑い気味にコメントを寄せたが、その後は握手を交わす場面もあり、終わってみれば両者ノーサイド。いずれにせよ、ここまで破竹の連勝を続けた中池にとっては悔しい初黒星となった。
勝ったシモンは「オレを弱いって言ってるやつ、舐めんじゃねえ。オレ強えから。どんどんフライ級で勝っていくぞ覚悟しとけ、以上!」とカメラ目線で宣言。バシッと決まったが、若干照れがあったか照れ隠しに「メルシー!」と最後は何とも微妙なマイク締め。「なんでメルシーやねんw」「すべった」のツッコミや「威勢が良くていい」「オレは好きよこういうの」など反応は様々だったが、インパクトある快勝でファンの心はガッチリ掴んだようだった。