12月2日から健康保険証の新規発行が停止され、マイナ保険証への一本化が本格的になる。今の保険証はどうなるのか? 困ってしまう人はいるのか? テレビ朝日社会部の岩崎文生記者に聞いた。
━━改めて12月2日から健康保険証はどうなるのか?
「現行の健康保険証は12月2日から新たに発行されなくなる。とはいえ、今持っている保険証がすぐに使えなくなるわけではなく、有効期限が来るまで最長1年間(2025年の12月1日まで)は使える」
━━2025年の12月2以降はどうなるのか?
「医療機関を受診する際は、主に大きく3つのパターンが考えられる。
1.マイナンバーカードを持っていてマイナ保険証に登録している場合
→マイナ保険証を利用して受診
2.マイナンバーカードを持っているが保険証登録していない場合
→医療保険者から交付される「資格確認書」で受診
3.そもそもマイナンバーカードがない・現行の保険証しかもっていない場合
→(2.と同様に)「資格確認書」で受診」
「『資格確認書』は保険者から自動的に送られるものであり、申請の必要はない。高齢者や障害を持った方などマイナ保険証での受信が難しい方は、申請すれば発行してもらえる」
━━「資格確認書」とは?
「医療機関が『患者がどの健康保険に加入しているか』や『医療費負担』などを確認するための証明書で、氏名・生年月日・被保険者番号・加入する健保の名前などが記載されている証明書だ。見た目は今の健康保険証とほぼ同じだ」
━━マイナ保険証を持っていなくても、資格確認書があれば現行の保険証代わりになるのか?
「保険証の代わりになる。特段困ることもない。12月2日以降に引っ越し・転職するなどして加入する保険組合が変わった場合も資格確認書で受診する人はこれまでの保険証と同じ手続きをすればいい。つまり、今までの保険証の変更の手続きと同様の手続きを資格確認書で行うのだ。いわば、『今までの健康保険証=資格確認書』なのだ。とはいえ、マイナ保険証の場合は新しい健保組合に切り替わって、資格確認書の発行手続きなどにかかる時間が無くなるので窓口で10割負担しなければならない期間が短縮される(10割負担しても手続きすれば戻ってくる)」
━━特段困ることがないのに、なぜマイナ保険証への登録が勧められているのか?
「マイナ保険証がなくても基本的には困ることはなく、そもそもマイナカード自体が任意なのでマイナ保険証に関しても強制ではない。マイナ保険証への切り替えが進められているのは国が進めている『医療DX』の推進の一環だからだ。医療DXは少子高齢化や労働人口の減少を背景に医療データのデジタル化を推進していく取り組みであり、例えば、電子カルテなど一人ひとりの医療情報を共有できる。また、救急時に持病があることがわかればスムーズな対応も可能になり、災害時などにも有効だと思われる」
━━マイナ保険証のデメリットは?
「個人の機微にかかわる情報が共有されることに不安を感じる人もいる。実際に、他人の情報との“紐付けの誤り”も起きている。基本的には本人の同意なしに情報を閲覧することはできないが、心情的にデータというものに対する不安感もあるだろう。さらに費用の問題や高齢の医師などの問題で3%ほどの医療機関がマイナ保険証に対応していないことに加え、読み取る機械が故障しているため一時的に10割負担になるケースも考えられる」
━━マイナ保険証の登録はどうすればいいのか?
「登録は簡単だ。マイナンバーカードを持っていればマイナポータルのアプリでもできる。医療機関の顔認証読み取り機、さらにはセブンイレブンのATMでもできる」