大学でも、私は園芸部に入った。渋いと言われるが、花の魅力に目覚めた以上は仕方ない。
2年生の春、新歓のチラシを渡していると、懐かしい顔を見つける。「ミズキくん!」と声をかける。彼はチラシを受け取り、照れたように笑った。
「必死で勉強したんだ! 君と同じ大学入りたくて」
彼と私はまた一緒に花を育てることになった。
■富田望生「ちょっと鼻かみます」
この前の『不器用な父の話』で、すでに号泣していた富田。『園芸係』のエピソードにも感嘆の声をあげながら、「ちょっと鼻かみます。もうちょっと……」と涙が止まらない様子で、藤井から「どうぞ」と勧められていた。