1年後、近所でお通夜があった。会社の帰り道、ふっと見たら、おばあちゃんの遺影だった。
人が噂をしていた。
「あの黒糖を配っていたおばあちゃん」
「昔の恋人からもらったってやつね」
「うわ、そんな古いの食べなくてよかった。
それを聞いて思わず叫んだ。
「あの黒糖は最高だったんだから!」
みんな引いて逃げていったけど、私は構わなかった。
不思議なほど涙が出た。
「おばあちゃん、お疲れさま。ほろ苦くて甘い黒糖を、天国で恋人と食べていてください」
■稲田「タイトルでもう…」
これまでのエピソードですでに“スイッチ”が入っていた稲田は、「おばあちゃんと黒糖、そのタイトルでもうダメでした」と明かしていた。