【写真・画像】女子高専生が「脱脂粉乳」に注目! 「牛と酪農家、どっちも生かすレザー」とは? 1枚目
【映像】真剣! 素材開発を行う女子高専生
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 革製品に見えるキーホルダー。実はバターを生産するときに出る「脱脂粉乳」で作られたもの。この「革風の素材」を開発したのは、北海道に在住する学生たちだ。

【映像】真剣! 素材開発を行う女子高専生

 現役の高専生・佐久間希美さんは高専の仲間と共に酪農家を助けたいという想いで「COWNECT」という学生チームを立ち上げ、代表を務めている。

 佐久間さんは「廃棄されている牛乳から何かできないか考え、ヒアリングする中で、脱脂粉乳がたくさん余っていて生産調整されていることがわかった」と当時を振り返る。

自分たちで一から素材の開発・製造

高専生が作ったキーホルダー
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 開発に着手したのは昨年9月ごろ。脱脂粉乳から“革風の素材”を作り出すという化学の実験のような作業は学校の実験室の一室を借りて行なっている。また、現状外部との提携はしておらず、自分たちで一から素材の開発・製造を行っているという。

高専生の本領発揮

学校で開発・製造
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 さすが高専生、とでも言うべきか。着目した脱脂粉乳に含まれる「ある成分」の性質を知っていたことが、起業のアイディアを具体的に推し進めるきっかけになったという。

「脱脂粉乳や牛乳の中に含まれている『カゼイン』というタンパク質の性質を利用すれば物を成形できると知っていた」(佐久間さん、以下同)

 そこに、「植物を原料に作り出されるヴィーガンレザー」の発想を組み合わせて、革風の製品を生み出す挑戦が始まった。しかし、スタートから難易度の高さにぶちあたったという。

「(自分たちが研究を始めた時は)生乳からカゼインを取り出す製法は確立されているが、脱脂粉乳から取り出すことは工業的に行われておらず、非常に苦労した」

 その後、レシピを変えることで念願の“革っぽさ”が再現したという。さらに、佐久間さんたちは進化を続けている。

「ビジネスコンテストなどに参加して行く中で、GAPファンド(政府・大学からの資金援助)を頂ける機会を得た。そして3月にはクラウドファンディングによって実験器具を買い足して開発を進めている」

 いずれ起業してこの活動を本格化させていきたいと考えている佐久間さん。開発した“革風の素材”が、広まっていく土壌があるのでは、と感じている。

「脱脂粉乳、ミルクを使っているということで完全なる『ヴィーガンレザー』ではないが『牛を殺さない、牛を生かすレザー』だ。そこに対して、価値を見出してくれる方がたくさんいるので、そういった面で受け入れられたらいい」

 そもそも、なぜこうした活動を考え始めたのか。やはりメンバー全員が北海道出身、というのが大きく影響していた。

「チームメンバーは小さい時から酪農家の大変さを感じていて『北海道に住んでいる私たち学生だからこそできることがあるのでは』と考え、酪農家を助ける活動を開始した」


「牛を殺さずに生かす」は今の時代に合っている

脱脂粉乳、なぜ過剰在庫?
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 佐久間さんたちの取り組みについて、日本大学危機管理学部教授/東京科学大学特任教授の西田亮介氏は「革製品は“牛の命と引き換え”というところがあるため、『牛を殺さずに生かす』というのは今の時代に合っている。また経年劣化による“味”が出てくるような素材になると面白い。今はプロトタイプだと思うが企業が入って本格的に生産ラインを整備したり投資されることで原価が下がることもあるだろう」と称賛した。

なぜ脱脂粉乳が余るのか?

バター・生乳生産量・学校の切っても切れない関係
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 ところで、なぜ牛乳や脱脂粉乳が余ってしまうのか? 実は学校も関連している。

 農林水産省の資料によると、学校が長期休みに入ると牛乳の消費量が減少してしまう。そこで保存期間が長いバターを作って調整するのだが、この時バターの2倍の量の脱脂粉乳も生産されてしまうのだ。
 
 ちなみに、バターと脱脂粉乳の輸入は牛乳・乳製品全体の安定した需要供給のために国家貿易で制御している。

 牛乳や脱脂粉乳が余ってしまうという問題について、西田氏は「世界に目を向けることが重要ではないか」と指摘した。

「日本の牛乳の安全性は世界的にも認知されている。様々な規制や生鮮食品としての側面はあるものの、保存が効くパックを活用するなどして販路拡大を考えていくことが重要だ。なぜなら日本では少子高齢化が進んでおり、人口が減少しているのは明らかだからだ。需要喚起が必須だ」
(『ABEMAヒルズ』より)

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