3度目ともなると、意外と反応は薄かった!? 出撃命令が出されたものの、廃人寸前のアムロ・レイ(CV:古谷徹)は部屋に籠ったままだった。様子を見に来たリュウ・ホセイ(CV:飯塚昭三)の躊躇ないビンタで正気を取り戻したアムロだったが、殴られることにも慣れたのか「ぶたなくたっていいでしょ」と素直に準備を始めていた。
婚約者ガルマ・ザビをシャア・アズナブルに謀殺されたとも知らず、イセリナ・エッシェンバッハは「ガルマ様の、仇……」とアムロに言い残して力尽きた。この出来事がさらにアムロを苦しませたのか、部屋に籠ったアムロはもはや廃人同然の状態だった。
フラウ・ボゥが運んできた食事を口に運ぶアムロの目には生気がなく、彼が普通の精神状態ではないことは誰の目にも明らかだった。その間もジオン公国軍は容赦なく、猛将ランバ・ラル率いる戦艦ザンジバルを新たな刺客としてホワイトベースに差し向けた。
ホワイトベースは一時身を潜めて攻撃をかわそうとしたものの、ザンジバルの追撃を振り切ることはできず、ブライト・ノアはガンダムの出撃命令を下した。しかしアムロの目は虚ろで白目がちであり、とても動ける状態には見えなかった。様子を見に来たリュウは名前を呼んでも反応しないアムロに、ためらうことなく平手打ちを見舞う。
この一発で正気を取り戻したアムロはようやく「リュウさん……」とつぶやいた。リュウが「ぼーっとしとったって何にもならんのだぞ!」と語気を強めると、アムロは「わかってますよ……ぶたなくたっていいでしょ」と力なく答えたのだった。
以前ブライトに殴られたときは「親父にもぶたれたことないのに!」と激しい反抗心を見せたアムロだったが、この場面では素直にリュウに従っている。これはアムロの成長といっていいのか、単に殴られ慣れただけなのか……。
その後アムロは、出撃準備を終えてヘルメットを装着した際「このヘルメットおかしいですよ、苦しいんだ」と訴えた。その言葉にリュウは不安を感じ、ブライトに“新米の兵隊がよくかかる病気になっている”ことを報告した。だが、敵モビルスーツが出撃している状況ではアムロを出撃させないわけにはいかなかった。
虚脱状態のまま出撃したアムロだったが、ランバの新型モビルスーツ「グフ」を目にすると持ち前の戦闘センスを発揮。苦戦しながらもなんとかピンチを切り抜けた。戦いが終わり無気力だったアムロの目にも生気が戻ったところを見ると、荒療治の効果はあったと言えるのかもしれない。
アニメ「機動戦士ガンダム」は1979年4月から1980年1月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、富野由悠季監督が手掛けた作品。“リアルロボットアニメ”という新ジャンルを開拓し、以後のアニメに多大な影響を与えた。放送当時の視聴率は振るわなかったものの、再放送や劇場版の公開で人気が急上昇すると、「ガンプラ」ブームも生まれるなど空前のヒットに。現在に至るまで数多くのシリーズやスピンオフなどの派生作品が制作され、高い人気を誇る。
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