発がん性物質を含み、中毒性が極めて高いことから、WHOが警告文を発表している通称噛みタバコ・キンマ。内戦が続くミャンマーで暮らす、少数民族のオオンさん(43歳)は、四六時中キンマを噛む日々を送っている。体に悪いとわかっていても、キンマを求めずにはいられないオオンさん。その背景に存在するのは、戦争が人々の心に落とした暗い影だった。
1月11日、東野幸治とあのちゃんがMCを務める番組『国境デスロード』#6が、ABEMAにて放送された。『国境デスロード』は、世界各国にある国境を命がけで越える人々の生活に密着する、ドキュメントバラエティ。本番組の企画・総合演出を手がけるのは、『不夜城はなぜ回る』(TBS系)で知られる、大前プジョルジョ健太ディレクター(以下、プジョルジョD)。プジョルジョDが各国の国境地帯に赴き、なぜ人々は危険を冒しながらも国境を越えなければいけないのか、その真実に体当たりで迫る番組だ。
番組後半では、前々回に引き続き、ミャンマーの内戦について取り上げた。ミャンマーの主要な少数民族・カレン族は1948年に、ミャンマーからの独立を宣言。一部地域を“カレン国”として占領し、70年以上、ミャンマー軍と激しい抗争を続けてきた。ミャンマーとカレン国の間には、国際的には認められていない“見えない国境”が存在するのだ。今回プジョルジョDが訪れたのは、タイとの国境付近に位置するカレン族の村・コーチュー村。ミャンマー軍の攻撃から逃れてきた約1500人のカレン族が暮らすこの村で、プジョルジョDは4児の父であるオオンさんに密着した。
村の食事処でオオンさんと出会ったときも、彼はキンマを噛んでいた。ヤシ科の植物・ビンロウジの実と石灰を、桑の葉で包んでつくられるキンマ。カレン民族軍の兵士を取材した際も、戦争の恐怖を忘れさせてくれるキンマは、彼らにとって欠かせない嗜好品となっていたが、ここの村民たちの間でも広く普及しているようだ。キンマの魅力についてオオンさんは「キンマするとお母さんに包まれているよう。夜はよく眠れるし、昼はよく動けるし。こればっかりはやめられないね」と話していた。その後、密着取材を続けていくと、オオンさんはかなりのキンマ愛用者だと判明。時間や場所を問わず、隙あらばキンマを噛む姿が度々映し出された。
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