そんなオオンさんは村1番の明るい性格で、スポーツ大会などのイベントも多数企画している。しかし番組の最後には、彼が抱える辛い過去が明らかになった。コーチュー村の村民たちは皆、「戦わない」選択をした人々だ。オオンさんもその1人なのだが、約10年前まではカレン民族軍の兵士として戦いに参加していたのだった。そのことをオオンさんは、激しく後悔しているのだという。「とても後悔しています。今さら言っても仕方ないけど、自分のせいで亡くなったミャンマー兵には申し訳ない気持ちでいっぱいです。取り返しのつかないことをしてしまいました。だから僕は毎日懺悔の気持ちで寺院に通い、祈りを捧げているんです」。暗い表情でそう語った後、オオンさんは「もう誰も傷つけたくない。だから武器を捨てた。もう戦わない」と続けた。キンマを噛んでいる間だけは、この苦しい感情を忘れられるのかもしれない。
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