「イギリスでは表現の自由よりも、消費者保護の意識がすごく優先されることがある」
【映像】イギリスの下着広告 NGとOKを分けたポイントとは?
こう話すのは広告の炎上事例に詳しい、中村ホールデン梨華さんだ。イギリスでは、消費者に悪影響を与えるような広告やメッセージを規制する仕組みが確立されているという。
「苦情が一件でもあれば複数の目で見て撤去指示を広告企業に出す」
「消費者が『こんな広告を見た』『これは嫌だ』『不快だ』と広告審査機関に苦情を出す。そんな苦情が一件でもあれば、審査機関はきちんと『何が悪いか』『この広告によってどんな人がどういうふうに悪影響をこうむるのか』について複数の目で見て撤去指示を広告企業に出す」(中村さん、以下同)
放送や通信など、イギリス国内のあらゆる広告を監視するのが、広告基準協議会(ASA)。消費者から苦情があった広告を学者や弁護士、広告業界経験者などのメンバーが審議し、ガイドラインに沿っていない場合は広告主に撤去を命じる。
「日本での議論は『俺は(この広告は)エロくないと思っている』『これは水着を売るためのものだから大丈夫』などと情報を発信する企業側が主な判断軸になっているが、イギリスはそうではない。『これを見た人にどんな悪影響があるか』が判断の軸だ」
ASAからの命令への対応は企業側にゆだねられるものの、審議内容や判断結果がホームページで公開されるため、ほとんどの企業は指示に従っているという。日本はビジネスのための自由な表現が優先され、それを見る側への影響がないがしろにされていると中村さんは指摘する。
「何を性的とするのか、何をアダルト文脈として捉えるかは個人として差がある。だから企業もどんな広告を作ればいいのかわかっていない。そのため、政府または政府から独立した第三者機関がルール・ガイドラインを作った方が実行力があるのでは」
アニメキャラを使用した広告の描写など、度々議論が起きている日本。しかし、明確な基準や検証機関がないため、炎上度合いや企業側の判断によって対応が変わるという曖昧な状況が続いている。
「日本はまだまだ表象文化についての判断をする人がいない。判断するためのガイドラインがないことが一番の問題だ。性的な広告を規制するとか、倫理を考えて広告を出稿するみたいなところに繋げるためには、消費者保護の観点や消費者目線に立った時にどうかという議論が必要だ」
「エロが駆逐されてもおかしくない」
日本で野放し状態になっているエロ広告につて、ノンフィクションライターの石戸諭氏は「エロ広告を発信している、広告を出している側が業界団体的なものを作った上で、省庁も交えてどういう広告の出し方が望ましいのか、子ども向けのタブレットに出てくるのはどうなのか、など議論していく必要がある。広告を出す側の意識も変わってほしい」と述べた。
さらに「広告を出す側がこのままでは、我々が様々な文化をこっそり楽しむこともできなくなる」と警鐘を鳴らした。
「エロ広告を出す側の業界の人たちも危機感を持った方がいい。もし、今の自主規制に任されているうちにルールを明確にしておかなければ国主導で表現規制が進み、エロ表現がすべて弾かれるようになってしまうかもしれない。ある種の大人向けの文化であるエロが駆逐されてもおかしくない」
(『ABEMAヒルズ』より)
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