サービス付き高齢者住宅で暮らす依頼者は、独身で現在無職。高次脳障害と左半身麻痺の後遺症が残り、筋肉の硬直と手足のしびれ・痛みがあるという。この日は歩行訓練の日で、訓練の後は鍼灸治療を受ける。

 実はこの鍼灸師の男性も同じバーの常連客で、治療と歩行介助のボランティアとして週3日通っているという。「(サポートの理由は)友達だから。そんな意味はないです。(依頼者は)昭和のスターみたいな飲み方をされて、会えば財布を出したことがない。すごい人でした」と語る。

 倒れた後、マスターの前でタバコを吸ったことを「反省している」と話す依頼者。「気のいい兄貴みたいな存在。死にかけた姿を見せたから、次は元気になった姿を見せたい」との思いを明かす。現在、タバコはやめたものの、お酒は医師から許可が出ているそうだ。「『生きてて楽しいことがないとアカンから』って。楽しいことないからね、この身体になったら」。

バーのマスターにあった“贖罪”の思いとは