コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジに通う1年生・西山数紀さん(46)。
その前職は英語教員だ。順風満帆な道を離れ、なぜリスキリングの道を選んだのか?
「ここ10年あなたが言ったセリフの中で一番テンション上がった」
「いわゆる難関大学を目指す生徒たちを指導しているうちに、ノウハウもたまってきて、自分自身で試してみたいと思った。また、教員は生徒に頑張れと言う側だが『夢を与える仕事の教員自身も挑戦すべき』だと考えた」(西山数紀さん、以下同)
若いころに抱いた「海外の大学で学びたい」という夢を46歳で叶えた西山さん。しかし、妻や子どもがいる中、反対の声があったのかと思いきや…
「僕よりも妻の方が男前だった。『ハーバードかコロンビアに行きたい』と伝えると10秒ぐらい固まった後『ここ10年あなたが言ったセリフの中で一番テンション上がった。勝負しておいで。今まで20年間家族のために頑張ってくれた分、今度は私が頑張る番』と言ってくれて、思いっきり背中をたたいてくれた」
家族の支えもありながら、若くない体に鞭を打ち、朝4時に起きて受験勉強に励む毎日。その原動力となったのが…
「最後に受け持った高校生に目標を書いてもらった際に僕も教卓の前で『私はコロンビア教育大学院に奨学金合格する』と決意を書いた」
努力が実を結び、西山さんはコロンビア大学のティーチャーズカレッジに見事合格。卒業後のライフプランは?
「最終的なライフゴールは、今までの教師としての経験とコロンビア大学で学んだ経験を生かして自分の学校を作りたい。ただその前に頑張っている現職教員や若手教員、これから教員になりたい人に向けてサポート事業を始めたい」
西山さんの挑戦はまだまだ始まったばかりだ。
「僕は40になってから、『よく動けて20年かな』と思うようになった。どうやって残りの時間を充実させようか、今この瞬間が大事だと思う。失敗の可能性や要因をあまり深く考えず、『楽しそうならとりあえずやってみる』。一歩踏み出せないで迷っている人にはぜひ勇気を出して挑戦してもらいたい」
「どれだけ人と違うユニークな人生を歩んでいるか」
西山さんの挑戦についてbtrax CEO ブランドン・片山・ヒル氏は「人生のペースは人によって全然違っていい。日本にいると『何歳で大学に行って、何歳で就職して…』となりがちだが、西山さんは自分のペースを見つけた。素晴らしい」と絶賛。
さらに「これからの時代は『どれだけ人と違うユニークな人生を歩んでいるか』が価値になる」と指摘した。
「テクノロジーやAIが発達して、どんどん平準化され、誰もが模範回答を持てるようになった時、人がしていない体験をした人がビジネスにおいても価値を持つ。だから西山さんのような方の未来は明るい。『46歳からでは遅い』と言う人がいるかもしれないが、アメリカでは年齢の概念がほぼなく、履歴書にも年齢を書かない。年齢を理由にすることは差別にあたる」
「絶えずスキルアップしなければ会社でもついていけない」
日本における仕事やキャリアに関する学び直しの現状はどうなっているのか?
パーソル総合研究所によると、約70%がリスキリングの重要性を認識しつつ、実際に学び直しているのは14%程度だという。
この結果にブランドン氏は「必要性を強く感じていないのではないか。ちなみに、アメリカでは絶えずスキルアップしなければ会社でもついていけなくなり、キャリアアップもできない。そのため、多くの方々は日々新しいことを学んでいる。知的労働をしている人たちは新しくなるテクノロジーに対応し、新しい知識も入れている」と指摘した。
ちなみに、受験勉強に際して西山さんも英語を猛勉強したという。中でも有効だったのがChatGPTの音声機能の活用だ。テーマを決めて車通勤の間、スピーキングのトレーニングを継続。西山さんは「英語は体育や音楽などの実技科目に近い。水泳のように水に入っている時間に比例してうまくなる」と説明する。
そんな西山さん、どんな留学ライフを送っているのか?
「ニューヨークで社会人留学と聞くとキラキラしたイメージあるかもしれないが全然そんなことはなく泥臭い。毎日勉強から始まって授業を受けて復習して一日が終わる頃には“バタンキュー”で寝る。そんな毎日だ」
(『ABEMAヒルズ』より)





