■トランプ大統領「多様性にNO!」方針

トランプ氏、多様性にNO
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 トランプ氏は「多様性にNO!」の方針を示している。1月20日の就任会見で「今週、私は人種とジェンダーを公私生活のあらゆる側面へ社会的に持ち込もうとする政府の政策も終わらせる。白人と有色人種を区別しない、能力主義の社会を築く。米政府の公式方針として、きょうから性別は男女の2つのみとする」と発言した。

 具体的な政策として、トランプ氏は“反DEI”の大統領令に署名した。これまで「男」「女」「X」表記が可能だったパスポートなどについて、「性別を正確に反映する」として、「X」を排除した。また、トランスジェンダーの軍への入隊・従軍を認めないなどの政策も盛り込まれている。これらの背景としては、「優遇される少数者以外の人が不利な“逆差別”への不満」がある。

 アメリカでは反トランスジェンダー法として、「トランスジェンダーのスポーツ参加を制限」「性自認に関連するトイレ使用を禁止」「性的マイノリティーを取り上げた本が禁書に指定」「親による性自認や性的指向の教育を禁止」などが、共和党多数州などで可決した。

 「女性の権利と尊厳を取り戻す会」共同代表の青谷ゆかり氏は、トランプ方針を歓迎している。「性別は2つしかない。私は女性で、“心の性”というものは、尊重したいがよくわからない。性自認はあくまで主観で、客観的事実は生物学的な性別のみだ。主観を社会ルールに当てはめると混乱を招く」。

 10代で性別移行を始めたトランスジェンダーで、「性別越境者」を自称する阿部智恵氏は、「今までは認めていたが、今後はすべて認めないとなれば、振れ幅が大きすぎる。中間地点を探れるはずなのに、社会実装レベルで探る方向に行かないのは問題だ」と指摘する。

■トランプ氏の反DEI政策、日本ではどう受け止めるべき?
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