■トランプ氏の反DEI政策、日本ではどう受け止めるべき?

トランプ氏、多様性にNO
拡大する

 日本でもジェンダーを巡る議論は、たびたび起きている。歌舞伎町タワーの「ジェンダーレストイレ」は、批判が相次ぎ4カ月で廃止に。経産省ではトランスジェンダー職員の職場での女性用トイレ使用について、制限を認めた人事院の対応は違法とする最高裁判決が出た。また自民党の議連は、「公衆浴場の男女は身体的な特徴で区別すべき」との法案をまとめている。

 コラムニストの小原ブラス氏は、「『性別は2つしかない』、だからなんなんだ」と疑問を呈する。「性別適合手術を受けて、書類上も性別を変えた人は、男女のどちらかになるが、トイレや風呂、スポーツの問題が存在する。それぞれ事案ごとに議論すべきで、『男女2つだ、以上』という考え方は、議論を放棄している」。

 阿部氏は「結局はアメリカ型民主主義の病理だ」と指摘する。「日本は国会議員を選び、首班指名選挙で総理を決めるが、アメリカは国民それぞれが大統領を選ぶ。国民が求めるものが争点化されやすく、良くない形で二極化して現れている」と考察しつつ、「必ずしも日本がそこに追従する必要はなく、むしろ冷静に対抗していけるのでは」と語った。

 経産省で初代ビジネス人権室長を務めた門ひろこ氏は、「人権同士がぶつかっている状態だが、トランプ氏は社会実装を放棄しているように見える」と考える。「人権擁護の責任は国家にある。『男女の2つ、以上終わり!』では乱暴で、社会実装まで丁寧にやる姿勢を示さないと、少数者が不安に感じる。それは一国のリーダーとして、どうなのか」。

 アメリカ国民がトランプ氏に“熱狂”した背景には「経済面や教育面での貧困格差」があり、少数者を尊重する傾向が加速したオバマ政権当時とは「生活が大きく違っている」として、「SNSで生活がより可視化され、経済格差に不満が出た結果、“弱者”タイトルの奪い合いが起きている」と分析する。

 その上で、「国が決めすぎないのが、ひとつの解ではないか。今のアメリカでは、国に正解を求めすぎているから、トランプ氏が言わざるを得ない現状がある」との見解を示した。
(『ABEMA Prime』より)
 

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トランプ大統領「性別は男女の2つだけ」多様性政策見直しの背景&影響を考える
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