“推し活”は世界を救うのか?
この壮大なテーマについて、“推し活”としてサッカー観戦などを行っている精神科医の木村好珠氏に聞いた。
まずは推し活の現状を見ていこう。
推し活・ヲタ活をしている人の割合は、男性と比べて女性が2倍以上多くなっており、年代別に見てみると、10代から20代といった若い層が最も多いという(株式会社ネオマーケティングの調査 n=22373)。
では、推し活にはどの程度のお金が使われているのか?
推し先・好きなことを増やす
毎月使う金額については、男女ともに「1万円未満」が多いが、「1万円〜3万円」は30代男性=22.9%、30代女性=18.5%、「3万円〜5万円」は10〜20代男女ともに10%以上、「5万円以上〜10万円」の30代男性=8.3%と大きな金額をかけている人も少なくない(同調査n=1803)。
「これまで行ったことがある推し活の内容」としては、インターネットで情報収集=男性70.1% 女性72.3%、グッズを買う=男性46.1% 女性63.7%、イベントに参加=男性37.7% 女性45.9%(同調査 n=1173)となっている。
多くの人がお金をかけている推し活。医学的にメリットはあるのか?
木村氏は「私はすごく推し活を推している。心にとっても体にとってもすごくいい」と説明した。
「心にとって言えば、『好き・大好き』という感情があると快楽物質と言われるセロトニンとかドーパミンが出てきて『嬉しい』『楽しい』という気持ちがちゃんと出てくる。大人になるとなかなか感情をばーっと出す機会はないが、推しがいると嬉しい、楽しい、時には悲しいといった感情を前面に出せる。それはメンタルにとってすごくいいことだ」
「推しがいると例えば推しのライブやファン会に行くなど運動になる。私の患者さんにも『推しのためだったらちょっと頑張って外に行こう』となる方がいる。行動力を生むことは、行動して体にも良く、また『やりたい』『行きたい』という気持ちの面でもいい」
さらに木村氏は「推し活をしてコミュニティに属していると感じられると、“所属の欲求”を満たすことができる。自分自身で『私はここにいていいんだ』『私の存在はここにあるんだ』と実感でき、安心感がもたらされる」と補足した。
一方で、推し活の対象のスキャンダルが報じられて傷ついたり、“ロス”に陥ってしまうリスクもある。
この点については「まず『推しの幸せは自分の幸せ』『尊い存在が幸せになれるって嬉しいことじゃん』などと自覚することが重要」と指摘。さらに、“依存”に陥ってしまう方については「依存先を増やすこと」を勧めた。
「自分の推しという存在を色々作る。例えば私はサッカー好きだが、アニメも漫画も好き。いろんなことが好きだと多少緩和されるので、推し先・好きなことを増やすと『推しの幸せが自分の幸せにならない』ということにはならないのでは」
さらに木村氏は「あくまで推し活は自分が楽しむためのもの」と強調した。
「自分自身が推し活によって苦しくなるのは良くない。あくまで推し活は自分が楽しむためのものであり、例えば『お金を貢ぎすぎてしまって生活が苦しくなって心も悲しくなっちゃいました』となると意味がない」
(『ABEMAヒルズ』より)



