首都圏模試センターによると私立・国立中学校の受験者総数は2015年から9年連続で増加に向かい、2025年予測では5万2300人(18.1%)に達する見込みだという。
加熱する中学受験について教育経済学を専門とする慶應義塾大学の中室牧子教授と考えた。
中室教授は加熱の要因について「自分の子どもが(中学受験に)向いているかどうかを考えるよりも、周りで2割も受験している人がいれば、自分の子どももそうさせなければと親が考えるようになっているのでは」と分析。
さらに中室教授は「考える力がつかなければ受験勉強に意味がないのでは」と懸念を示した。
「勉強することはもちろん悪いことではないが、子どもの学力とは学問的には『認知能力』などと言われる。この認知能力は物事を考える力であり、この力を測ろうと学力テストが開発された。だが最近では、学力テストの点数を高めるために様々な“ハック”があり、そういうテストテイキングのためのテクニックみたいなものを身につけることに一生懸命になってしまっている。意味があるのは考える力を身につけること、真の意味での学力を身につけることであって、テストで点数を高めることではない。だから、ちゃんと考える力を身につけられるような教育になっているか、ご両親も先生もちゃんと見てもらえるといい」
では、考える力を身につけるためにはどうすればいいのか?
「これは難しいが、『好奇心』が大事だと思う。『こういうことを知りたい』という好奇心を大事にできているか。私も慶應のような偏差値の高い大学で長年教員をやって気づいたのだが、一生懸命受験勉強をやってきて、親や先生のプレッシャーで勉強してきた子は『大学受験がゴール』だと思っている。そのため、入ってきた途端、『もうこれ以上勉強してなるものか』みたいな、“勉強を苦行”だと考えてきた子たちがけっこう多い。中間テストの前とかに質問を促すと『先生、単位を取るために勉強したらいい最低限の時間って何時間ぐらいですか?』みたいなことを真面目に聞く子が出てきたりする」
「長い目で見た時に『勉強することは楽しいな』と思ってくれる子がたくさん育つことがやっぱり大切で、そうじゃないとこの変化の激しい時代に『勉強すること嫌いです』『勉強は苦行です』となってしまったら、本当に将来が大変なことになってしまう。だから、受験はやっぱりゴールじゃない。そのことはしっかり頭に置いておく必要がある」
(『ABEMAヒルズ』より)


